排出事業者の本社への家宅捜索(東洋ゴム委託基準違反容疑)

47NEWS 東洋ゴム本社を家宅捜索 廃棄物処理法違反の疑い

2010年の廃棄物処理法改正で、排出事業者の本社が立入検査の対象になりました。

「それが施行されるのは来年4月1日からなのに、なぜ現段階で本社が家宅捜索されたのか?」
と一瞬悩みましたが、

記事にもあるとおり、茨城県警が行ったのは「立入検査」ではなく、「家宅捜索」でした。
令状があれば、強制的に捜索することが可能となりますので、立入検査に関する法律改正とは無縁です(笑)。

東洋ゴム社が行った違反は、これからの捜査によって明らかにされると思いますが、
記事にあるとおり、「ばいじん」を「汚泥」として処理委託していたのであれば、非常に悪質な法律違反と言えます。

なぜなら、「ばいじん」は通常の排出方法では、「汚泥」に混入することはまれだからです。
あえて「ばいじん」を「汚泥」にふりかけようと思った場合は別ですが、
ただでさえ難処理の「ばいじん」を、「汚泥」と混ぜ合わせて処理費の高騰をさせる排出事業者はいないからです。

違反が起こった経緯として考えられるものは2つあります。

1つ目は、「ばいじん」を「汚泥」扱いにして、「汚泥」の許可しか持たない中間処理業者に委託していたというもの。

2つ目は、「ばいじん」ではなく「汚泥」に該当すると思い込み、悪意無く「汚泥」の中間処理業者に委託していたというもの。

いずれの場合でも、重大な法律違反であることに違いはありませんが、
中間処理業者が不法投棄をした(中間処理業者自らではなく、委託業者かも?)ことからは、
単なる一過性の過失で行われた委託ではなく、
違法な委託処理が反復継続していた可能性がうかがえます。

東洋ゴム社のHPを拝見すると、
今年の夏に、PCB廃棄物を誤廃棄したことを謝罪したばかりのようです。

そのときの対応窓口が、本社ではなく、現場の桑名工場となっていました。

「廃棄物処理は現場マターで足りる」という認識が甘かったのかもしれません。

確かに、大半は現場マターですが、
本社部門がリスクの本質を理解し、適切な予算措置を取らないことには、
またこのような不名誉な違反を繰り返すものと思われます。

今回の事件は、多くの排出企業にとって、決して対岸の火事ではないと思います。

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