不作為がクライシスに転化した実例:豊島不法投棄事件

四国新聞社 期間内の処理不可能/豊島産廃、新たに数万トン から記事を転載。

 豊島産廃処理事業で、香川県は1日、香川県土庄町豊島の不法投棄現場の山の斜面から新たに約1万6千トンの産廃が見つかったことを明らかにした。さらに同等量以上が埋まっているとみられる。数万トンの産廃の判明により産廃処理の総量はこれまでの想定の約67万トンを大きく上回り、2012年度末までの計画期間内の事業終了は事実上不可能となった。

 浜田恵造香川県知事は同日の定例会見で「新たな産廃の判明で、全量処理に遅れが出る可能性がある。見通しが甘かったと言われれば、その通りだ」と述べた。

 県によると、産廃の残存量をより正確に把握するため、4~6月に掘削を終えた現場東側エリアの測量調査を実施。露出した岩盤の標高などを測った結果、現場東端の山裾約150メートルにわたって想定よりも多く産廃が埋められていたことが分かった。

 新たに見つかった産廃は推計で約1万6千トン。掘削が進んでいない現場南側でも、山裾約150メートルにわたって同等量以上の産廃が埋められている可能性がある。現場西側や海に面した北側に関しては、施設整備時の調査などから「境界部分で新たに産廃が見つかる可能性は小さい」(県環境森林部)という。

 県は産廃処理量を03年の処理事業スタート時点で67万5千トンと推計。その後、産廃の密度の見直しを2回行い、04年に59万2千トンに引き下げたが、08年には66万8千トンへと上方修正した。さらに今年6月には、掘削の進んだ現場東側エリアで、産廃計約2千トンの埋まったつぼ状の穴が複数見つかった。

 豊島産廃処理事業は、これまでに判明していた産廃の約7割を焼却・溶融処理。9月から実施する産廃直下土壌の水洗浄処理と合わせ、12年度末に事業を完了する計画だった。国の支援が得られる産廃特措法の期限が12年度で切れるため、処理が遅れた場合、年間の事業費30億~40億円は全額県負担となる可能性もある。

 豊島住民会議の浜中幸三議長は「現場を見て、残り3割にしては量が多いなと不安を感じていた。国の支援がなくなる懸念はあるが、住民と合意した16年度末までの完全撤去に向け、安全で確実な処理を続けてほしい」と話している。

 豊島不法投棄事件は、
 「ミミズの飼育」と称した廃棄物の大量搬入が黙認され続けた後、実行者が倒産。
 現場に大量の廃棄物が放置 という、エポックメーキングな不法投棄事件でした。

 初期の搬入段階で止めることができれば、数十億円単位の国費を毎年投入する必要もなく、何より近隣住民の生活を害することもありませんでした。

 どうやら
 「何も対策を取らずに放置」というのは、当時の香川県当局のみの性癖ではなく、日本の「お家芸」のような気がします。

 東日本大震災や、原発への対処を見ていると、ますますその思いが強くなりました・・・

 
 非常に零細な企業による犯罪でも、ここまで大規模な不法投棄事件に発展するのですから、初動の速さがすべてといっても過言ではありません。

 現行法では、ここまで大規模な不法投棄事件は起こりにくくなっていますが、
 万が一同規模の事件が発生した場合、排出事業者が被る損害も莫大なものになります。

 初動の速さは、行政だけではなく、事業者にも必要な行動です。

※今回の記事の内容を気に入った方は、下記のバナーのクリック投票をよろしくお願いします。
にほんブログ村 環境ブログ 廃棄物・リサイクルへ

このエントリーを含むはてなブックマーク

タグ

トラックバック&コメント

この投稿のトラックバックURL:

コメントをどうぞ

このページの先頭へ