地域とのコミュニケーション不全のつけ

Yahoo!トピックスに産業廃棄物処理業者の地域コミュニケーション実例が取り上げられていました。

高砂の産廃施設計画:協議の場を設定、地元と業者が合意 /兵庫

 高砂市梅井での産廃処理施設建設計画で、自治会や漁協など地元5団体と業者が協議の場を持つことで合意し、31日、自治会長と業者代理人らが確認書に調印した。地元はあくまで計画反対の姿勢で、業者側に計画の詳細や会社の実態などを確認したいとしている。
 調印したのは、地元側が梅井、高須、県営伊保団地の3自治会と市連合自治会、伊保漁協、業者が市内の「クリーンライン」。確認書では、6者が協議する場として「会議」を置き、これまでの住民説明会などで不明だった点を明らかにする--としている。調印は予定地に近い高須自治会館で行われ、塩谷勝・高須自治会長(75)は「クリーンラインの実態はよくわからない。次回は社長と膝をつき合わせて話を聞きたい」と話した。
 市によると、業者は約2ヘクタールの敷地に、建設現場から出たプラスチックや木、金属などの廃棄物を破砕、こん包する中間処理施設と保管・積み替え施設を計画している。

もし当事者の立場だったら、ゾッとするような事態です。

それは、事業者という立場ではなく、住民という立場であっても同様です。

漁協という、通常なら建設廃棄物の中間処理と利害関係を有しない団体を巻き込んだ以上、解決には多大な時間が必要となるでしょう。

もっとも、法律上の話だけをすれば、本件解決は非常に簡単です。

しかし、それを書いてしまうと、地域を分断する問題に間違いなく発展しますので、絶対に書きませんし、当事者にもアドバイスしません(笑)。

本件の一番の問題点は、新聞報道や複数の高砂市議のブログなどを見る限り、
事業者側の経営者が説明会に出席していないことです。

地元から突き上げられるのは誰しも愉快な経験ではありませんが、
それが嫌だからといって、代理人に交渉を任せてしまうと
地元に対し、「お前たちとは真摯に語り合うつもりはない」と宣言しているのと同様です。

私の職業経験上、この最大の難事を嫌がり、自分の口で説明をしない経営者の場合、
間違いなく地元交渉は長期化しています。

中には、地元の強硬な反対姿勢に心が折れ、事業を断念する企業も多いです。

どれも、最初に経営者自身が真摯な説明姿勢を示していれば、少なくとも、地元の方も交渉のテーブルにはついてくれたと思われます。

許可取得が長期間になるほど、
それに費やした費用や時間を回収するのが困難になりますし、
特に建設廃棄物の場合は、年々減少傾向になりますので、
許可を取れた時点では経営環境が激変することになります。

処理業者自身の利益のためにも、地元関係者とは誠実に交渉することをお勧めします。

当事務所にアドバイスを依頼する場合は、
地元との交渉が暗礁に乗り上げてからではなく、
交渉に臨む前にしていただくようお願いしておきます(笑)。

費用や時間も大幅に変わってきますので。
あ でも、こういった地域コミュニケーション業務は本当に大変なので、積極的になんでもお受けしているわけではありません。

それに、当事務所が全権委任を受けて地元交渉を一手に引き受けるようなことは絶対にしません。

交渉の主体は、あくまでも、廃棄物処理をそこで行い続ける事業者です。
私は(交渉経験が豊富な)アドバイザーに過ぎません。

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