行政代執行は最善の策ではない

産経ニュース 5年ぶりの行政代執行 (宮城)県内には未だ36件の大型不法投棄

不法投棄と、それに伴う行政の後始末の問題を端的にまとめた記事です。

「多くの産廃がある一方で、撤去が必ずしも進んでいない。竹の内問題で県費をかなり使ってしまったという背景もある。一方で行政代執行を頻繁に行えば、『不正な業者の捨て得を許すのか』という批判に直結しかねない」(宮城県警関係者)という悩みもある。

このコメントに問題の実態がよく現れていますが、
行政代執行を多用しすぎると、法律違反をする者の尻拭いを税金で行うというモラルハザードになっていしまいます。

もちろん、行政代執行をしてでも、早急な廃棄物の撤去が必要な場合も多々あります。

しかし、それでも、やはり行政代執行は、不法投棄対策の「切り札」、あるいは「伝家の宝刀」として最後まで取っておくべきです。
いえ、より率直に言うならば、行政代執行は、不法投棄対策の中でも「下策」の部類に入ります(硫酸ピッチの撤去など、緊急の必要がある場合は別)。

では、もっと良い策はどうなるのか?

一番良い「上策」は、不法投棄をするリスクをもっと重く、かつ現実的な損失にすること。
チョー具体的に例え話をすると、
不法投棄を10t以上した者は死刑、というくらいに、不法投棄で得られるメリットよりも、デメリットの方がはるかに大きくすることです。

不法投棄対策だけを論じるならば、これが最も効率的な対策ですが、およそ法治国家では、このような対策を取ることは不可能です。

余談ですが、上策、中策、下策と3つのパターンで解決策を提示する場合、
上策は目的達成のためにはもっとも効率的な対策ですが、全体最適を考えると、上策には問題があるパターンがほとんどです(笑)。

三国志で、龐統が劉備に入蜀を薦める際にも、上策、中策、下策の3つを献策しましたが、劉備は結局「中策」を選択しました。

話が横道にそれましたが、不法投棄対策の「中策」として考えられるのは、
「廃棄物の不適正処理の規模が小さいうちに、違法行為の芽を摘むこと」です。

これだと、場合によっては、不法投棄された廃棄物の全量を撤去することができないかもしれませんが、
少なくとも、行政代執行という巨額の公費を費やす必要はなくなります。

とはいえ、パトロールや、事案への即応体制を敷くためには、それなりの安くはない人件費の負担が不可欠となりますが。

宮城県においては、震災廃棄物の不法投棄問題などがこれから発生してくるかもしれません。

上記のコメントは、その可能性を見据えた上での発言かどうかはわかりませんが、
行政代執行に安易に頼るのではなく、措置命令発出後も地道に指導を重ね、行為者に自主的に撤去をさせるという方針を堅持していただきたいものです。

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