収集運搬業者が建設廃棄物を無許可処分

2日続けて事件報道を紹介しておりますが、またもや無許可営業事件です。

産経ニュース 産廃業者ら4人逮捕 がれき無許可処分容疑 兵庫県警

日テレニュース(動画) 無許可でガレキ処理、建設業者ら4人逮捕(兵庫県)

日テレニュースの方が短い報道であるものの、具体的に経緯が報じられていますので、報道内容を一部転載します。

 4人はことし3月、1か月間で134回にわたり神戸市の廃棄物処理業の許可なく家屋の解体工事などで出たガレキ519トンを砕いたりするなどした疑い。
 現場は市街化調整区域に指定されていて産業廃棄物の処理自体ができない地域だった。
 容疑者らは「有価物でリサイクルだ」と容疑を否認している。
 調べによると9年前から無許可で処理を続け、正規の業者の3分の2の価格で廃棄物を引き受けていたとみられ詳しく調べている。

容疑者の主張通り、本当にすべてのがれきを全量買い上げていたなら、運賃の負担者なども考慮しなければなりませんが、廃棄物処理ではなく、砕石の製造事業とみなせたかもしれません。
注:最近の経済実態からすると、再生砕石自体が売れませんので、このような事業は成り立ちません。

しかし、県警の捜査結果だと思いますが、正規業者よりも安いとはいえ、処理費を徴収していた事実があるようですから、容疑者の「有価物である」という主張自体が成り立ちません。

130回の搬入で520tのがれきを処理したそうですから、
1回あたりの搬入量が約4t。

大型ダンプが入れない細い道なのか、
それとも勝手に置いた破砕機の能力が小さかったのか。

比較的こじんまりと違法処理を続けていたようです。

報道では、「市街化調整区域で産業廃棄物処理はできない」と書かれていますが、
厳密に言うと、市街化調整区域でも産業廃棄物処理ができる場合があります。

10年前の法制度化で困ったケースとしては、
「自社が発生させた廃棄物の処理を、市街化調整区域に置いた1日4.9tの破砕処理ができる機械で自社処理をする」と言われるケースです。

実は、廃棄物処理法的には、本当にこの主張通りであるならば、市街化調整区域でも廃棄物処理ができてしまいます。
(※現実には、各自治体が処理施設の設置を規制するために、条例や行政指導で規制をしているところがほとんどですので、簡単には機械を設置できませんが)

このような主張をされると、その行為者が処理している廃棄物が自社物か他社物なのかを行政側が立証する必要が生じます。
そして、行政側が他社物であるということを立証するためには、特別な調査手法を用いる必要がありました(当時)。

しかし、2010年改正により、注文者から直接発注を受けた元請業者のみが排出事業者として規定されましたので、
上記のような主張がされた場合でも、「じゃあ 発注者は誰?連絡先を教えて」と尋ねることで、自社物か他社物かを簡単に判断できるようになりました。

建設業界にとっては非常に迷惑な改正だったかもしれませんが、
自治体の規制最前線においては、大変使い勝手の良い改正内容になったと言えるでしょう。

自治体には、改正法第21条の3という、違反が小規模なうちに芽を摘む武器が与えられたわけですので、今後はこのような比較的小規模事件であっても、行政処分などが従来以上に迅速に行われるようになるのではと期待しております。

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