大阪市長選の論点になった廃棄物問題

ごみ排出量「ワースト」大阪 市長選、減量公約競う  から記事を一部抜粋の上、転載します。

 リサイクルの広がりなどから全国的にごみの排出量が減少するなか、大阪府は1人あたりの排出量で全国最悪の状態が続いている。特に事業所が集まる大阪市は他の大都市と比べても、ごみ問題が深刻。2人の市長選候補はそれぞれ減量目標と処理施設の削減を掲げるが、分別意識の啓発や施設の適正配置など市政に求められる課題は多い。

 2009年度の環境省の調査によると、1人あたりの1日のごみ排出量は、大阪府が1117グラムで都道府県で最多。大阪市は1358グラムで、東京23区(1122グラム)や横浜市(951グラム)、名古屋市(1032グラム)と比べ、その多さが際立つ。

 大阪市の09年度の処理量は115万トン。計9カ所の処理施設で約163万トンの処理能力があるが、うち2カ所は稼働年数が25年を超えており老朽化が深刻。このため市は、15年度までに処理量を110万トンに減らす目標の達成を前提に、2カ所を建て替える方針だ。

 市長選候補の2人はいずれもごみ減量と、処理施設の統廃合を訴える。

市長が誰になったとしても、大阪市の廃棄物減量が政策として進められることになります。

ただし、ここでいう「減量」とは、「大阪市が処理する廃棄物の減量」であって、「市民や企業の排出量の削減」ではありません。

もちろん、言葉の本来の意味としては、「排出量の削減」に違いないのですが、
記事にもあるとおり、大阪市においては、事業系廃棄物が6割を占めるという特殊な事情があるため、
産業廃棄物の受入(合わせ産業廃棄物処理)を停止するだけで、大阪市の廃棄物処理量を大幅に削減することが可能です。

そして、大阪市から受入を拒否された廃棄物は、産業廃棄物として処理されるか、他の市町村の施設に搬入されるしかありません。

個人的に、大阪市の一般廃棄物処理業団体の方とお話しする機会があるのですが、
残念ながら、業団体の方はこの流れに逆らい、現状を維持することのみに必死です。

抵抗して現状が良くなるのであれば、抵抗することにも意義がありますが、
他の市町村の動向や結果を踏まえると、大阪市のみが従前の“緩い”受入方針を維持することは不可能です。

廃棄物の受入量が減ることが確定している以上、
既存の処理業者のふるい分けが進められることも確実です。

また、現状でも大阪市の廃棄物手数料は比較的安い状態ですので、
最近値上げが議決されたばかりですが、まだまだ値上がりすると考えるのが妥当です。

一般廃棄物処理業界に残された時間はそれほど長くありません。

変革するために残された時間は、長くてもあと2年くらいだと思います。

私のお客様の中には、
一般廃棄物処理業の他に、産業廃棄物処理業の許可を取得し、事業の多角化を図っているところがあります。

一般廃棄物と産業廃棄物では、顧客や商品がそれほど異ならないため、本当の意味での多角化ではないのですが、少なくとも、大阪市の一般廃棄物処理業の許可が倒れたとしても、産業廃棄物処理業で生き残れる可能性が出てきます。

危機が来るのが明らかである以上、
「やるかやらないか」と議論している場合ではなく、
「今すぐやる」しかないのですが、
日本人の特性として、ギリギリまで行動できないという現実があります・・・

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