事件報道が一番の普及啓発策かもしれない

またもや漁協がらみの事件報道です。

朝日新聞 無許可で産廃 運搬した疑い

 無許可で産業廃棄物を収集運搬したとして、道警は5日、紋別市の廃棄物処理業者「北東開発工業」と同社役員(69)ら4人を廃棄物処理法違反(無許可運搬、受託禁止)容疑で書類送検し、発表した。運搬を委託した紋別漁協と担当者1人、同市内の水産加工業者などの役員ら計8人も同法違反(委託基準違反)で書類送検した。いずれも容疑を認めているという。

 紋別署や生活経済課によると、北東開発工業は2007年5月~10年12月、紋別漁協などが委託した汚泥計524トンを、旭川市から許可を受けずに同市内の中間処理場に運搬した疑いがある。

 07年2月に紋別市内の廃棄物処理場が閉鎖。漁協や水産加工業者は汚泥の処理に困り、北東開発工業が運搬契約を結んだ。同社は道から廃棄物処理業の許可を得ていたが、法律が改正される11年3月までは運搬先である旭川市の許可が必要だった。

 同社については、昨年10月に市民団体「産業廃棄物処分場問題全国ネットワーク」(東京都)の藤原寿和共同代表が道警に刑事告発していた。

政令市の運搬許可を受けずに、政令市内の中間処理業者に汚泥を持ち込むという、ある意味わかりやすい違反です。

書類送検された処理業者としては、当然それが違反であると知っていたはずですが、なぜ長期にわたり違法行為を継続していたのでしょうか?

推測でしかありませんが、「これくらいなら大した違反ではない」とか、「ばれるはずがない」という思い込みがあったのではないかと思います。

しかし、事件が明るみになったのは市民団体の告発がきっかけでしたので、「天網恢恢疎にして漏らさず」ですね。

検索してみたところ、
「産業廃棄物処分場問題全国ネットワーク」は、学術的な知見と市民目線で行動している団体のようです。

記事に掲載されている代表者の方は、東京都環境局の元職員だったようです。

実務経験を退職後に活かし、知識を社会的に活用するというのも、生き方として今後広まっていくように思います。

さて、事件の本質に戻りますが、
旭川市の運搬許可がない以上、委託者である漁協や水産加工会社の過失も大きいため、それぞれの担当者が書類送検されてしまいました。

当ブログでいつも書いているところですが、
排出事業者の担当者の意識不足に、問題のすべてを押し付けるのは危険だと思っています。

日本の事業所の9割以上を占める中小零細企業においては、廃棄物処理法の知識が決定的に不足しています。

法律の普及啓発は行政の役割ですが、すべての零細企業に個別に周知啓発するのは現実的に不可能です。

そのため、今回のような事件報道によって、メディアが法律の知識を啓発していくことも重要となります。

今回の朝日新聞の報道は、廃棄物処理法の規制を過不足なく盛り込んだ正確な報道であると評価していますが、正しい内容でメディアが報道しないことも多いのも事実です・・・・。

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