あらゆる事態に対応できる契約書を作ることは可能か?

先日、ある処理業者の契約責任者の方から契約書に関するご相談を受けました。

詳細は書けませんが、「将来的に発生が予想されるリスクをすべて回避できる契約書を作れないか」というのが一つのポイントでした。

相談者の方は、手抜きをしたいがために相談をしているわけではなく、むしろ真面目に会社のリスクを考えられた上でのご相談でした。

さて、結論を先に書くと、哲学的な話に聞こえるかもしれませんが、事前にあらゆるリスクを想定してそれに対応する契約書を作ることはほぼ不可能です。

その理由は簡単で、事前にすべてのリスクを予想することは、神ならぬ人間には非常に困難だからです。

契約書にできることは、リスクをすべて回避することではなく、リスクが発生した場合に自社にとって有利な運用ができる条文を、契約書の中にできるだけ多く盛り込むことです。

ただし、自社に有利な条文を作れば作るほど、契約書は分厚くなります。

欧米企業が交わす契約書が電話帳のような分厚さになるのはこのためです。

もっとも、廃棄物処理委託契約書の場合は、電話帳のような厚さにする必要はほとんどないと思いますので、公開されている雛型を使えば十分だとは思います。

しかし、その中に自社に有利な運用ができる条文を盛り込むことも可能ですので、処理委託に伴うリスクを極小にしたい場合は、雛型などに独自の条文を追加する必要があります。

ここでやってはいけないのが、独自に(?)雛型を換骨奪胎しすぎた結果、廃棄物処理法に基づく法定記載事項を契約書から削除してしまうことです。

法定記載事項を書いてあれば、後は当事者の自由で条文を付け足すことは問題ありませんが、
法定記載事項が書かれていない契約書は、いくら分厚くても廃棄物処理委託契約書としての用を成しませんので、分厚くするだけの意味がまったくありません。

このエントリーを含むはてなブックマーク

タグ

トラックバック&コメント

この投稿のトラックバックURL:

コメントをどうぞ

このページの先頭へ