羊蹄丸最後の“最後の”船出

新聞記事のタイトルがあまりにも見事だったので、そのまま転載させていただきました。

青函連絡船として1965年から1988年まで就航していた羊蹄丸。
終航後は、東京お台場の船の科学館で屋外展示されていました。

当ブログでも既報済みの「えひめ東予シップリサイクル研究会」で安全安価なリサイクル技術を研究するため、お台場からはるばる愛媛県新居浜市まで曳航され、最後の一般公開がなされていました。

そして、いよいよ実際に船体の解体やリサイクル技術の検証を行うために、香川県多度津町へと曳航されていったというニュースです。

読売オンライン 「羊蹄丸」最後の最後の船出

<香川で解体>
惜しまれつつ離岸する羊蹄丸(新居浜市の黒島埠頭で)

 新居浜市の黒島埠頭(ふとう)で一般公開されていた元青函連絡船「羊蹄(ようてい)丸」が10日、解体作業のため、香川県多度津町へ向けて埠頭を離れた。

 羊蹄丸は昨年、東京都品川区の船の科学館から、環境に配慮した船体の解体や再利用の研究を進める「えひめ東予シップリサイクル研究会」(新居浜市)に無償譲渡。4月27日~6月10日に一般公開され、約6万1000人が船内を見学した。多くの部品や備品は取り外されて販売されるなどした。

 この日は約100人が見守る中、別の船に引航されて離岸。11日夕に解体業者に引き渡され、解体しながら鉄や黄銅、ステンレス、建材などに分別し、アスベストや薬品などの有害物資は、環境被害が出ないよう処分する予定。

 同研究会代表の日野孝紀・新居浜高専准教授は「羊蹄丸はリサイクルの貴重なモデルケース第1号。環境に優しいリサイクルのあり方を新居浜から世界へ発信したい」と話している。
(2012年7月11日 読売新聞)

羊蹄丸が老体にムチ打って最後のご奉公に臨む姿に、「宇宙戦艦ヤマト」を想起してノスタルジーを感じました(笑)。

捨てる部分がないくらいに、あらゆる部品がリユースやリサイクルの対象になる様も、自らの身を犠牲にして、他者の幸せに尽くす羊蹄丸が「アンパンマン」か「しあわせの王子」の姿と重なりました。(T_T)

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価格: ¥ 1,365

シップリサイクル条約の発効により、今後は船舶の安全な解体が世界的な課題となりますが、
その中でも、「コスト」と「アスベストの除去及び処理」は、基本的に重要な解決するべき問題となります。

日本で船舶解体をする場合は、アスベストの処理自体は安全に行える環境にありますので、「コスト」と「アスベストの除去」をいかに効率的に行っていくかがポイントとなりそうです。

そのための礎として、羊蹄丸がその身を研究のために捧げてくれるわけですね。

船舶ながら、日本人としての心の琴線に触れるニュースでした。

「えひめ東予シップリサイクル研究会」で、実証研究が大いに進むことを期待しております。

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