一般廃棄物における委託者の責任

浜松市が公園管理を委託していた団体に、公園内の空き地に不法投棄されるという事件がありました。

静岡新聞 浜松公園緑地協会を捜索 木くず不法投棄容疑

 浜松市北区の市有地に木くずなどを不法投棄した疑いで細江署が、市の元外郭団体「一般財団法人浜松公園緑地協会」(同市中区)を家宅捜索していたことが、関係者への取材で25日、分かった。
 同市北区新都田の飛ケ谷緑地に5月下旬、木くずなどが捨てられているのを市の職員が発見し、同署に相談していた。市の調査では、同協会が公園の管理で出た木くずなどを捨てていたことが判明している。
 同協会をめぐっては、公園管理で回収した金属片を換金した際に市へ納めなくてはならない代金を適切に処理していなかったことも発覚。
 市からリサイクル処理の委託を受けた除草済みの草を焼却処分して約1100万円の処分費用を浮かせたことも市が明らかにしていて、2009年度の過払い金約800万円の返還を求められている。

公園の空き地とはいえ、不法投棄をした浜松公園緑地協会が一番の問題なのは当然ですので、そのことについてはここでは触れません。

今回は、一般廃棄物の処理委託関係を整理するための題材として、この事件を解説したいと思います。

落ち葉の排出事業者

捨てられたのが公園の管理行為で発生した落ち葉や草などですので、これらは一般廃棄物となります。

では、それらの排出事業者は誰なのでしょうか?

公園から落ち葉や草を集めた「浜松公園緑地協会」になるのでしょうか?

「浜松公園緑地協会」は公園内のゴミを集めただけなので、落ち葉の排出事業者になることはありません。

公園の元々の管理責任者である「浜松市」が、落ち葉や草の排出事業者ということになります。

委託先の業許可

産業廃棄物の場合は、委託先の業者には産業廃棄物処理業等の許可が必要となりますが、
一般廃棄物の場合はどうなるのでしょうか?

基本的には、事業者が一般廃棄物処理を委託する際には、相手方に一般廃棄物処理業の許可が必要です。

しかし、一般廃棄物の場合は、事業者ではなく市町村が外部に処理委託をする場合があります。

市町村が一般廃棄物の処理委託をする場合、相手方には一般廃棄物処理業の許可は必要ありません。

もちろん、処理能力を持たない事業者に委託をしたところで、適切な委託ができるわけがありません。

一般廃棄物処理業の許可は不要でも、施設や人員、経験などを備えた事業者に対して委託をする必要があります。

こうして考えると、

市からリサイクル処理の委託を受けた除草済みの草を焼却処分して約1100万円の処分費用を浮かせたことも市が明らかにしていて、2009年度の過払い金約800万円の返還を求められている。

という表現が少し気になります。

記事では浜松市から浜松公園緑地協会に対し、草のリサイクル処理が委託されていたことになっているからです。

行政とはいえ、管轄外の法律では恐ろしく無頓着なところがありますので、本当にそのような委託契約をしている可能性もありますが、
一般的には、「リサイクル処理」ではなく、「清掃工場への運搬」を委託されていたのではないかと思います。

通常、行政から委託を受けた業務については、業務完了後に「業務完了報告書」を事業者が提出し、受託業務の完了報告を行うことになります。

そのため、委託者の浜松市としては、その報告書を精査すれば、1,100万円もの処分費のピンハネを簡単に見抜けたはずですが、複数年にわたって同様の横領的行為が横行していたということは、浜松市の委託者としての責任も非常に大きいと言わざるを得ません。

浜松公園緑地協会から過払い金を返還させることは当然必要ですが、なれ合いの体質を一新するためには、公園管理部局内での処分も必要と思われます。

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