御所市(奈良県)に対し1億9千万円の賠償命令

07月12日 20時12分 NHKニュース 土地に産廃 御所市に賠償命令

土地売買に関して、自治体に損害賠償命令が出されるというケースも珍しいと思いますのでご紹介します。

奈良県の御所市からごみ焼却場の跡地を買い取った不動産会社が、「土の中から産業廃棄物が見つかり損害を受けた」として市に賠償を求めた裁判で、大阪高等裁判所は市の過失を認め、1億9000万円余りの賠償を命じました。

この裁判は、奈良県御所市のごみ焼却場の跡地を市から買い取った不動産会社が、「土の中から大量の産業廃棄物が見つかり、取り除くための費用などで多額の損害を受けた」として市に賠償を求めていました。

きょうの判決で大阪高等裁判所の山下郁夫裁判長は、産業廃棄物は御所市が埋めたものだとしたうえで、「市は廃棄物の存在を告知・説明することなく不動産会社に売却し、廃棄物により会社が受けた損害を賠償する責任がある」として1億9000万円余りの賠償を命じました。

判決について御所市は「判決内容を精査できていないのでコメントできない」としています。

報道の表現どおりに事実認定がされたかどうかはわかりませんが、
「産業廃棄物は御所市が埋めたものだ」という点に少しひっかかります。

ごみ焼却場跡地に埋まっていた廃棄物が問題になっているので、おそらくは生活系一般廃棄物を燃やした後の焼却灰などが見つかったのではないでしょうか?

その他、不燃物や粗大ごみも見つかったのかもしれません。

いずれの場合も、産業廃棄物ではなく一般廃棄物です。

御所市が発生させそうな産業廃棄物と言えば、下水汚泥が思いつきますが、ごみ焼却場で汚泥を燃やしていたわけではないと思われますので、やはり産業廃棄物が埋まっていたとは思えません。

報道を見る限り、地下水や土壌汚染があったわけではなさそうですので、
土壌汚染対策法や廃棄物処理法の範疇ではなく、単なる民事訴訟と考えられます。

御所市がいつ廃棄物を埋めていたのかがよくわかりませんが、
最終処分場の設置が届出だけで行えた時代や、届出すら必要なかった時代もありましたので、
廃棄物を埋めた行為が、即、廃棄物処理法違反になるわけではありません。

今回の裁判では、
1.御所市に廃棄物埋設の告知をする義務があったかどうか
2.不動産業者は廃棄物埋設の事実を知っていれば土地を購入することが無かったか
3.埋設された廃棄物によって、土地購入の目的が達成できなく、あるいはそのままでは達成困難になったか
などが争点になったものと思われます。

上記の3つの争点が御所市に過失ありという認定になり、1億9千万円という高額な賠償命令になったのではないかと考えています。

ごみ焼却場の跡地をどのように利用するつもりだったのかに興味が湧き、別報道を調べると、事件の経緯がよくわかりました。
2013/07/12-20:21 時事ドットコム 買った土地から産廃、賠償命令=告知せず、御所市に2億円-大阪高裁

 奈良県御所市から購入した土地に大量の産業廃棄物が埋まっていたとして、土地開発会社(同県桜井市)が御所市に除去費など3億円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁(山下郁夫裁判長)は12日、請求を棄却した一審奈良地裁判決を変更し、市に約1億9400万円の賠償を命じた。

 判決によると、同社は1990年、ごみ焼却場跡地約1万2000平方メートルを工業団地用地として4億円で市から購入したが、2009年、コンクリートや鉄片など約1万6300立方メートル分の産廃が見つかった。

 一審は双方が産廃の埋設を知っていて契約したとしたが、二審は「市は産廃の存在を告知せず、会社側は気付かなかった」と指摘し、市の不法行為責任を認定。同社は有害な鉛で土壌汚染されていたとして除染費も請求したが、「当時は環境基準値が策定されていなかった」と退けた。

時事ドットコムには、土地の購入時期や、跡地の利用計画などが書かれていますので、
NHKと合わせて読むと、事件の経緯がよくわかりました。

それでも、産業廃棄物という表現にはひっかりを感じますが(笑)。

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