浜松公園緑地協会が不法投棄罪で書類送検

事件自体は2年前に発覚していたものですので、「今ごろ?」という遅きに失した感がありますが、ようやく事件化されたのでご紹介しておきます。

※当ブログ2012年5月29日付記事 落ち葉の処理責任者

毎日新聞 2014年5月15日 産廃物不法投棄:浜松公園緑地協会、容疑で書類送検 /静岡

 コンクリート片など産業廃棄物を浜松市の公園に捨てたとして、細江署などは14日、市の外郭団体だった一般財団法人「浜松公園緑地協会」と当時のグループ長(47)ら職員11人を廃棄物処理法違反(不法投棄)容疑で静岡地検浜松支部に書類送検した。

 送検容疑は2009年11月〜12年5月に数回、同市北区新都田の公園「飛ケ谷緑地」に街路樹整備で出たコンクリート片や枝木など約800キロを捨てたとしている。

 同署によると、監督する立場だったグループ長ら2人は「指示した覚えはないが責任は自分たちにある」と供述。9人も容疑を認めている。公園はそれまで処分場として使われ、9人は「適当な場所だと考えていた」と話しているという。

 同協会は市から公園などの管理を委託していた外郭団体で、12年4月に一般財団法人になった。

今回の事件に関する論点を2点設定しました。

不法投棄物は一般廃棄物か産業廃棄物か

毎日新聞の見出しでは「産廃物」と表現されていますが、浜松公園協会が不法投棄したものはすべて産業廃棄物に該当するのでしょうか?

別の同日付読売新聞の記事では、

男らは2009年11月~12年5月、数回にわたり、飛ケ谷緑地に街路樹整備などで発生したコンクリートや木の枝、側溝のふたなど計約800キロ・グラムを飛ケ谷緑地に廃棄した疑い。

とありますので、「工作物の除去に伴って発生したコンクリート」については、産業廃棄物になりそうです。

ただし、浜松公園緑地協会が自ら施工したのでない限り、公園管理者が建設廃棄物の排出事業者になることはあり得ませんので、建設工事の元請業者の責任はどうなっていたのかに疑問が生じます。

事件が発覚した2012年は、既に「元請業者のみが排出事業者となる」2010年改正の施行後となりますので、曖昧な事実認定に不安を感じます。

そして、「木の枝」については、街路樹整備といっても、大部分は剪定作業で発生したものと思われますので、産業廃棄物ではなく一般廃棄物として位置づける方が適切ではないかと思います。

その理由は、
産業廃棄物となる「木くず」の排出業種の分類に、「剪定作業」は含まれないからです。

最後の「側溝のふた」は、「金属くず」として問題なく産業廃棄物になりそうです。

不法投棄罪の構成要件としては、一般廃棄物であろうと、産業廃棄物であろうとどちらでも違いはありませんが、新聞報道という正確性が要求される媒体において、「産廃物不法投棄」という表現はいささか正確性に欠ける表現であったと言わざるを得ません。

緑地はいつまで最終処分場だったのか

浜松市が公開している都市公園データによると、
不法投棄が実行された「飛ケ谷緑地(浜松市北区新都田一丁目108-5)」は、平成5年3月31日からの供用となっています。

そのため、一般廃棄物最終処分場としてその場所が供用されていたのは、おそらく昭和63(1988)年前後のことと思われます。

20年以上前の最終処分場としての記憶をずーっと引きずり続けるとは、最終処分場への思い入れがよほど強かったに相違ありません(苦笑)。

色々な不法投棄犯がいますが、このような言い分を見るのは初めてです。

間違った情報とはいえ、20年以上も組織内で連綿と“ゴミ捨て場所”と認識し続けていたということは、効率的な(?)マニュアルの整備や引き継ぎが行われてきたものと思われます。

一度引き継ぎを間違うと、後世の担当者がそれを覆すのは事実上非常に困難
という生きた教訓にもなってしまいました。

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