石原産業の株主代表訴訟で和解が成立

フェロシルト事件については改めて説明する必要がないかと思います。

今回は、そのフェロシルト事件の後始末に関するニュースです。

そもそもは
石原産業の株主が、フェロシルト事件当時の石原産業役員らに対し起こした「会社に不当な損害を与えたので、489億円を支払え」という、株主代表訴訟が発端でした。
※上記の株主代表訴訟に関しては、当ブログ2012年7月3日付記事 「石原産業元役員に巨額の賠償命令」 をご参照ください。

大阪地裁は「元取締役ら3人の責任を認め、ほぼ全額の485億8400万円の支払い」を命じましたが、
その後原告・被告の双方が控訴、結局元役員ら13人で5千万円を会社に支払うという内容で、和解が成立しました。

2014年5月21日 朝日新聞 フェロシルト訴訟が和解 石原産業旧経営陣、責任認める

 化学メーカー石原産業(大阪市)が、有害物質を含む産業廃棄物を「フェロシルト」の商品名で販売した不法投棄事件で、株主3人が旧経営陣らに撤去費用など約480億円を同社に賠償するよう求めた株主代表訴訟が20日、大阪高裁(田中澄夫裁判長)で和解した。関係者によると、元取締役とその遺族計13人が計5千万円余りの和解金を同社に支払う内容という。

 一審判決などによると、同社は2001年8月~05年4月に同社四日市工場から発生した六価クロムを含んだ汚泥約72万トンをフェロシルトとして販売。売却先の業者を介して愛知、岐阜、三重、京都4府県の山林などに不法投棄した。原告側代理人によると、13人が同社の法令順守体制に不備があったことに「遺憾の意」を表し、同社に和解金を支払うなどとする和解内容だという。

フェロシルト問題に何ら責任が無い元取締役の遺族にまで金銭の支払い義務が生じた、という点に注意をする必要があります。

株主代表訴訟は、訴訟を提起した株主に賠償金が支払われるものではなく、違法行為をした役員が会社に対して賠償金を支払うものです。

訴訟の途中で訴えられていた元取締役が死亡したとしても、刑事事件の被告とは異なり、遺族が被告としての地位を承継することになり、賠償金を支払う羽目に陥りました。

1審の大阪地裁では485億円という、およそ個人レベルでは支払不可能な賠償金でしたので、和解した5千万円という金額が低く見えてしまいますが、
計13人で5千万円の和解金ですので、1人当たり約384万円。

元取締役の遺族の方にしてみれば、これでも大変な金額です。

株主代表訴訟は上場企業の取締役のみに関係するリスクではなく、中小零細においても経営に携わらない株主が存在する以上、同様のリスクがいつ発生してもおかしくありません。

もちろん、上場企業の取締役の方が、株主代表訴訟で背負うリスクは桁違いに高くなりますが、
取締役になる方は、自分自身の安全のみならず、家族が訴訟の対象とされるリスクを念頭に置きながら、会社全体としての法違反のリスクを管理していくことが不可欠です。

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