道路検問の実例

当ブログ 2014年6月5日付 「全国ごみ不法投棄監視ウィーク」道路検問対策 で、各地で行われる廃棄物運搬車両に対する道路検問とそれへの対策を解説したところです。

2014年6月20日付で、茨城県から、「産業廃棄物運搬車両の一斉検査を実施しました」という道路検問の実施結果が公表されましたので、道路検問の実施例として解説します。

県では,毎年6月と11月を「不法投棄防止強調月間」と定め,不法投棄の撲滅に向けて,県下一斉に集中パトロール等を実施しています。
この一環として,6月17日に常陸太田市において,県民センター総室,県北県民センター,太田警察署,常陸太田市,廃棄物対策課職員合計21名が,6月18日に坂東市において,県西県民センター,境警察署,坂東市及び廃棄物対策課職員合計21名が産業廃棄物運搬車両の一斉検査を行いました。
この一斉検査は,産業廃棄物運搬車両について,その運搬状況や車両表示等を検査し,不適正処理のおそれのある車両を発見するとともに,適正な運搬を指導することによって,産業廃棄物の適正処理を確保することを目的としています。
合計で19台の車両を検査した結果,産業廃棄物運搬車両の表示不備(3台),マニフェスト不備(2台),産業廃棄物収集運搬業許可証の写しを携行していなかった車両(1台)に対して改善指示を行いました。(複数指示車両あり。)
また,6月18日には,筑西県税事務所から3名が参加し,不正軽油にかかる検査を同時に実施しました。

茨城県の場合は、全国ごみ不法投棄監視ウィーク期間中ではなく、6月17日と18日の2回に分けて実施しています。

いずれも、茨城県・地元市・茨城県警の3者が協力して検問を実施しています。

行政職員だけでは通行している車両を円滑に止めることはできませんので、警察の協力を得て検問を実施するのが通例となっています。

2日間で19台の車両を検査したとのことですので、1日あたり約10台。

違反に対して文書で改善指示をする場合、1件当たり20~30分程度の対応時間が掛かります。

1班ではなく、2班程度の人数で検問していたとすると、2時間から3時間程度で10台の運搬車両を検査して、改善指示までできる計算になります。

1年間のうちで特定の1日間の、そしてその中でも午前中の数時間で道路検問に遭遇する確率というのは、それほど高くはありません。

1年間でならすと、スピード違反で止められるよりも低い確率と言えるでしょう。

しかし、1年間の中でこの数時間の間だけは、廃棄物を運搬している事実だけで自動的に検問の対象となりますので、検査をされる確率が局所的に跳ね上がります。

そういった非常時にものを言ってくるのが、「平常時の取組」

茨城県の道路検問の際に指摘されているのは、すべて基本的なミスばかりです。

事業者側が少し注意をしておけば、どれも起こるはずのない違反ばかりでした。

ただし、中には「マニフェストの不備」もあったようですので、「マニフェストの不存在」を意味する「不備」であるならば、運搬業者が直罰の対象にもなりかねない危険な違反でもありました。

「全国ごみ不法投棄監視ウィーク」道路検問対策 でもお伝えしたとおり、運搬時に履行すべき義務はそれほど複雑ではありません。

マニフェストという紙切れ一つの有無によって、予想もしていなかった苦境に陥る可能性を考えると、平常時の従業員教育の徹底が企業を守る非常に有効な手段であるとご理解いただけると思います。

その他、茨城県の発表では、「県税事務所も不正軽油にかかる検査にあたった」とありますが、
これは、重油から軽油を密造し、不正に軽油引取税を脱税する事業者を取締るためです。

最近ではニュースになることも少なくなりましたが、「硫酸ピッチ」は軽油密造の際に発生する厄介な副産物です。

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