行政自身の自己チェックの困難性

滋賀県高島市に引き続き、京都府の城南衛生管理組合も、基準値を超えるダイオキシン類を含んだばいじんを不正に大阪湾フェニックスに搬入していたことが発覚しました。

2014年6月24日 読売新聞 城南衛管また不祥事 基準超ダイオキシン搬出

 基準値を超えるダイオキシン類を含むばいじんを、大阪湾広域臨海環境整備センター(大阪市)が管理する埋め立て処分場に搬入していた城南衛生管理組合(管理者=山本正・宇治市長)。昨年来、データ改ざんや違法な排水処理などの不祥事が次々に発覚しており、記者会見した山本市長は「徹底してウミを出し切るしかない」と苦しい表情を見せた。

 府は今回の問題を受け、同センターにばいじんを搬入していた同組合の焼却施設「クリーン21長谷山」(城陽市)に再度、立ち入り検査することを決めた。ダイオキシン類の数値が基準を超えた原因や、再発防止策について確認する。

 同組合は、宇治、城陽、八幡市と久御山、宇治田原、井手町の6市町から出る家庭ごみなどを処理。年間事業費約60億円は各自治体が負担する。クリーン21長谷山は宇治市以外の5市町の家庭ごみなどを処理する。

 同組合では昨年5月、折居清掃工場で、約5時間にわたり大気中に環境基準を超える塩化水素を放出したうえ、データを改ざんしていたことが発覚。同年9月には、廃棄物最終処分場「奥山埋立センター」(城陽市)で、7年間にわたり違法な排水処理を続けていたことがわかった。さらに同年11月には、折居清掃工場から冷却水1万5000リットルが宇治川に流出。その後の調査で、敷地内から基準値の6~100倍のダイオキシン類が検出された。

「行政が法律を守るのは当然」というのは、法学的には自明の命題と言えますが、
行政を回しているのも人間である以上、行政も過ちを起こすという前提で制度設計を行う必要があります。

市町村が一般廃棄物廃棄物処理施設を設置する場合、民間事業者のように設置許可申請は必要ではなく、都道府県への届出のみとなります(法第9条の3)。

もちろん、届出とはいえ、設置許可申請書と同内容の項目を記載し、構造基準や技術的な基準を満たす必要があります。

しかしながら、施設設置後に、都道府県が市町村設置の一般廃棄物処理施設に対して立入検査を行うことはほぼありません。

「市町村は廃棄物処理法の基準通りに施設を維持管理するはずだ」という希望的観測があるためです。

そして、外部からのチェックが無くなり、人事異動を繰り返すうちにマニュアルの改悪や無視が現場で起こり始め・・・

一つの不祥事がきっかけとなって他の自治体の不祥事が明らかになる、というお決まりの転落パターンをたどります。

この転落パターンは、施設管理者の高潔性やモラルだけでは防げません。

閉じた世界の中で、厳しい自己チェックを期待するのは無理だからです。

不祥事を起こした自治体においては、外部の目、すなわち住民などの目を意識した操業を続けるためにも、
施設の維持管理や処理状況に関する情報公開を自発的に行うことが必要だと考えます。

不祥事のたびに頭を下げるだけでは、問題の根本的解決にはつながりません。

このエントリーを含むはてなブックマーク

タグ

トラックバック&コメント

この投稿のトラックバックURL:

コメントをどうぞ

このページの先頭へ