エバークリーンの爆発事故は業務上過失致死傷罪で決着
2013年11月に廃油の精製プラントが爆発炎上し、現場の作業員2名が死亡するという痛ましい事故を起こした千葉県野田市のエバークリーン社。
工場の支店長が業務上過失致死傷罪の容疑で書類送検される見込みとなり、一応の決着を迎えることになります。
2014年12月30日付毎日新聞 工場爆発:支店長ら書類送検へ 業過致死傷容疑で千葉県警
千葉県野田市の廃棄物処理施設「エバークリーン千葉支店」で昨年11月、廃油蒸留処理施設が爆発し作業員2人が死亡するなどした事故で、県警は来月にも、当時の同支店長(43)ら数人を業務上過失致死傷の疑いで書類送検する方針を固めた。
事故は昨年11月15日、廃油を蒸留処理する工程で、不純物を取り除く遠心分離機が爆発・炎上し二十数人が死傷した。
捜査関係者によると、支店長らはハイオクガソリン8560リットルに軽油の混ざった揮発性の高い「特別管理産業廃棄物」と知りつつ、高熱の発生する蒸留処理施設に流し込んだ疑いがある。社内規定では、特別管理産業廃棄物を高熱の発生する工程に投入してはならないが、県警は支店では日常的に同様の作業を行っていたとみている。
廃油処理を依頼した県内の石油運送会社の当時の幹部についても、エ社側と正式な契約を交わしていなかったとして、県警は廃棄物処理法違反の疑いで書類送検する方針。
事故を起こしたエバークリーン社(の支店長)は、廃棄物処理法に基づく刑罰ではなく、刑法の業務上過失致死傷罪で裁かれることになります。
刑法
(業務上過失致死傷等)
第211条 業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。
人が死んだのに、なぜ廃棄物処理法では罰せられないか
本来なら特別管理産業廃棄物を処理するのに適さないプラントに特別管理産業廃棄物を投入することは、
「許可内容」と「許可条件」に違反していた可能性があります。
もしも、恒常的に爆発を引き起こしかねない操業をわざと続けていたような場合は、産業廃棄物処理業の無許可変更として処罰できたかもしれません。
しかし、通常は積極的に爆発を引き起こしかねない操業を会社が指示することはありませんので、現場の独断で社内規定を無視した結果、事故が発生したと捜査当局に判断されたのかもしれません。
このように、廃棄物処理法違反でも罰することが可能な部分がありますが、
犯罪事実の立証が容易な「業務上過失致死傷罪」での立件となったのか?
それとも、エバークリーン社が法人の許可消滅に波及しかねない廃棄物処理法違反での立件を全力で阻止したのか?
はわかりませんが、
支店長個人の書類送検である以上、エバークリーン社の産業廃棄物処理業許可には影響が無さそうです。
厳密には、絶対に法人の許可取消には波及しないとは言い切れないのですが、現在進行中の事案であるため、その理由をここでは書きません。
ただし、委託者の幹部は委託基準違反で書類送検されている
「正式な契約を交わしていなかった」というのは、
「契約を交わしていなかったのか」
それとも、「契約は交わしていたが、委託契約書は作成していなかったのか」
あるいは、「契約を交わし委託契約書も作成していたが、ガソリンとしての契約ではなかった」
と、様々な状況が想定できますが、委託基準に違反していたことは間違いなさそうです。
本来なら、「幹部」ではなく、「契約担当者」が書類送検の対象になるところですが、
今回は「幹部」と呼ばれる人が積極的に委託基準違反をさせていた、と捜査当局に判断されたのではないかと思われます。
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2015年1月5日 | コメント/トラックバック(1) | トラックバックURL |
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コメント
ガソリンが廃棄物になる理由
①ローリー車からの、卸し間違え
②スタンド職員の指示違い
等々です。
いずれにしても、保険での処理に成ろうかと思います。
また、揮発油税の処置もありますので、
処理する場合、何のタンクに何が混入したのか、
それぞれの量も、廃棄の際は伝票に記載されます。
知らなかったとか、知らされなかったということは
絶対にありません。