食品リサイクルの一番の敵は「食べ残し」

廃棄される食品廃棄物を、可能な範囲でリサイクルを行うことは必要不可欠です。

しかし、リサイクルよりも、廃棄物の発生抑制がもっとも大切なのは、どの個別リサイクル法においても同様の基本となります。

今回ご紹介するのも、そんな事例の一つです。

2015年5月31日付 産経ニュース 松戸市、食べ残し給食を飼料に再利用し焼却ごみ削減

 焼却処分される学校給食の食べ残しを養豚飼料に活用する試みが松戸市でスタートした。市では平成24年度から堆肥への再生が3小中学校で試行され校内花壇などで使われているが、再生効率が高いとされる飼料化を加えることで「資源循環型社会」の実現に一歩近づくという。本格的な飼料化導入のため、食べ残し量などを確認する検証実験(モデル事業)が5月から7小中学校で行われている。

 食べ残しや調理くずは事業系ごみの「学校給食残渣(ざんさ)」として焼却処分されている。これを豚の餌としてリサイクル(再資源化)すれば、ごみ焼却に伴う二酸化炭素の発生を抑制でき、限りある食糧資源の有効活用が進む。

 市では給食残渣資源化システムの構築が「松戸の先進性」アピールにもつながると期待する。その理由は、年間100トン以上の食品廃棄物を出す食品製造業者やレストランなどは食品リサイクル法で義務づけられているが、学校給食では再生の取り組みが進んでいないからだ。

 検証は7月末まで続く。対象となる小学校は六実小など3校、中学校は第四中など4校。給食実施日の午後、専用の冷蔵保冷車が7校を巡回して、校内で一般ごみと仕分けされた給食残渣を回収し、白井市内の資源化処理業者のリサイクル工場に運ぶ。

 工場では残渣を裁断してタンクに入れ、高温で殺菌。これに乳酸菌を加えると液状の飼料になる。このリサイクル飼料はリサイクル業者が茨城県内で運営する養豚施設で使用される。

 モデル事業で調べるのは、給食残渣の出る量だ。ほかに一般ごみと残渣の分別作業が調理員の負担増になるかどうかも重要なチェックポイントとされる。今回はリサイクル工場に近い学校がモデル事業対象に選ばれており、輸送中に腐敗する心配は少ないが、将来の対象校拡大に備えた冷蔵保冷車の有効性も検証される。

 対象7校の給食は1日当たり約3千食。市廃棄対策課のまとめでは5月1、7、8日の3日間、7校からは1日平均で約350キロの給食残渣がリサイクル工場に運ばれた。

 市内の公立小中校は64校(小学校44校、中学校20校)あり、給食は1日計約3万5千食。すべてが再資源化されれば、1日4トン近いリサイクルが実現する計算になる。

 第四中の管理栄養士、井上貴子さんは「生徒たちは給食残渣が養豚飼料になると聞いて驚いていた。校内での分別作業が特に負担増になることはない。さらに味を工夫して食べ残しを少しでも減らしたい」と話す。

 市がこの事業に熱心なのは、ごみ焼却で出る灰の処分を市内でできず、遠隔地の埋め立て処分場に依存していることが大きい。焼却ごみの削減は緊急の課題とされている。市は7校での検証結果が良ければ、回収効率をさらに高め、全小中学校での回収を早急に実現したい考えだ。

記事を読んでわかることとして、松戸市の取組みの主眼は、給食工場から出る調理くずではなく、各学校で児童が食べなかった「食べ残し」であることがわかります。

1日4万トンの食べ残しが毎日発生しているそうですので、1年間ではおよそ800tの食品廃棄物が発生している計算となります。

仮に、全児童が給食を完食したとすると、800tの廃棄物の大部分は発生しないことになり、手間暇をかけてリサイクルをする必要が無いということになります。

とはいえ、それは完全に机上の空論に過ぎず、子どもにおいても食の嗜好の多様化が進んだ現代においては、一定量の食べ残しが発生するのも仕方がない状況なのかもしれません。

一方、逆に、給食で出された物なら苦手な食品であっても食べることができる、という子どももたくさんいることでしょう(念のため、各家庭のお母さんの料理が美味しくないという意味ではありませんので)。

※我が家の小学生の息子の話では、毎日給食を早く食べてお代わりをしているとのことなので、よほど腹をすかしているものと思われます(笑)。

最後に、

「生徒たちは給食残渣が養豚飼料になると聞いて驚いていた。」

という指摘に、少しばかり驚きました。

buta

最近の子どもは、養豚場で飼養されている豚を実際に見たことが無く、豚が何を食べるのかを知らないようです。

ひょっとすると、工業製品のように、豚肉も工場で製造されていると思っている子どもがいるかもしれません(汗)。

自分の食べる物が、どうやって作られ、どのように調理されているかくらいは、知っておいた方が良いと思いますが、
それを自分の子どもにしっかり伝えることが、大人の役割の一つなのでしょうね。

もっとも、左の画像のように、最近は何が入っているかわからない食べ残しではなく、「飼料」による肥育が主流となっていますので、豚が人間の食べ残しを食べることを知らない大人も多いかもしれません。

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