働くあなたの背中をきっと誰かが見つめている

非常にくさいタイトルで申し訳ありません(笑)。

不覚にも、朝から涙腺が緩む新聞記事を読んでしまいましたので、ご紹介したいと思います。
※紹介する新聞記事の構成が素晴らしい一方で、新聞記事のタイトルが事件報道のような印象を与えているのだけが残念です。

2015年6月27日付 読売新聞 ごみ収集車に児童の絵 子供に人気、社員に誇り

 横浜市中区の廃棄物収集運搬処理会社「横浜環境保全」に、車体にかわいらしい絵がデザインされたごみ収集車が導入された。「子供たちに愛されるごみ収集車になってほしい」という社長の高橋義和さん(40)の思いが託されている。

 同市立南吉田小学校(南区)の校庭で、22日に開かれたデザインごみ収集車の導入式。稼働の実演が行われ、車の後部が大きく開いて、中からごみ袋が一気に排出されると、子供たちの歓声が上がった。

 車体の側面と後部にプリントされた絵は、4年生の藤村静香さん(9)の作品。女の子や猫が描かれており、全校児童の中から選ばれた。藤村さんは「ちょっと恥ずかしいけれど、街を走っているのを見るのが楽しみ」と笑顔を見せた。

記事で紹介されている廃棄物処理企業のサイト
   ↓
横浜環境保全株式会社

当ブログ 2015年5月7日付記事 「花壇と絵画による不法投棄の防止事例」で、

不法投棄の防止だけではなく、良い企業イメージを持ってもらうためにも、絵画は大変有効です。
筆者が見た実例では、「産業廃棄物処理企業の敷地を囲う壁に、近隣の幼稚園児が絵を描いた例」や、「パッカー車の側面全面に地元小学生の絵画を掲載した例」がありました。
いずれの場合も、廃棄物処理事業に対する(謂れのない)誤解や恐怖心を解くことに大いに役立っていますし、近隣関係者の作品を発表するという地元貢献にもなっています。

と書いた内容の生きた実例です。

実際に、上記の記事を公開した際に、「横浜環境保全さんはその取組みをされていますよ」と教えてくださった方もいらっしゃいました。

ただ、残念ながら、関係者の方の謙虚さのためだと思いますが、横浜環境保全株式会社さんのHPを見ても、そのような取組みを自社HPでは公開されていませんでしたので、今回新聞記事を引用する形でご紹介できるのは喜ばしい限りです。

余談ですが、山口県にある顧問先処理企業でも同様の取組みをされていますので、次に訪問した際にはしっかりと取材をしてご紹介したいと思っております。

さて、不覚にも涙腺が緩んだのは下記の部分です。

 高橋さんは同小OB。2011年に父親が亡くなり、後を継いだ。「小さい頃は、父の仕事のことでひどい呼び方をされ、悔しい思いをした」と話す。だが、仕事に誇りを持って働く父の姿が自信を与えてくれた。「ごみの回収は、社会や環境のために不可欠な仕事。社員には胸を張ってほしいし、自分と同じつらい思いをしてほしくない」。社長に就く際にあらためて決意した。

 仕事の負のイメージを取り払うために思いついたのが、車のデザインを変えることだった。市の要綱で、一般廃棄物用の車両は深緑色の車体と決められている。このため、産業廃棄物用の車両を対象に明るい水色やピンク色に変更し、動物や昆虫、横浜のご当地キャラクター「スター☆ジャン」などをプリントした。

 これまでに完成したデザイン車両は5台。運行を始めると、「子供たちから手を振られた」と社員がうれしそうに報告してきた。高橋さんも「子供が注目してくれるので、社員も念入りに洗車したり、今まで以上に安全運転に気をつけたりしているようだ」と喜ぶ。

 今後も、同社に約50台ある産廃用車両を明るいデザインに変更していくという。「手を振ってくれた子供たちが、いつかこの業界に入ってくれたら」と、高橋さんは夢を描いている。

「職業に貴賤は無い」とよく言われますが、
私個人は、廃棄物処理事業は非常に尊い職業であると思っています。

人がやりたがらない仕事ですが、誰かがそれをしないことには、社会システムが正常に動かなくなりますので、地域において必要不可欠なインフラと言えます。

しかしながら、世の多くの人は、廃棄物処理企業の重要な役割を知ることなく、「ゴミ」や「不法投棄」という単語から連想されるネガティブで、そしてまったくの筋違いな印象しか持っていないというのが現実です。

もちろん、数万社ある廃棄物処理企業の中には、地域と協調することなく、平気で環境汚染を広げてきた企業があるのも事実ですが、
大部分の企業と、そこで働く従業員の方は、地域との協調を望んでいます。

仕事柄、廃棄物処理企業の従業員の方と会話をする機会がよくありますが、
「口数は少ないが真面目」という性格の人が多いという印象です。

最近ではユニフォームで仕事着を統一している企業もかなり増えましたが、
そうでない企業の場合、動きやすさを優先した服装を従業員各自が行うため、若干怖そうな印象を与えてしまっているのが残念です。

ただし、根が真面目なだけに、パッカー車好きの子どもに会うと、運転手が優しい顔で手を振っている場面をよく目にします。

このあたりの機微が、読売新聞ではうまくまとめられています。

運搬車両の塗装を工夫するだけで、「地域住民の抱くイメージの向上」「従業員の誇り」「車両清掃の徹底」「安全運転の向上」「(長い目で見た)人材のリクルート」といった、企業にとってはどれも望ましい効果が得られることを、横浜環境保全さんが実証してくれています。

非常に高い投資効果が得られる工夫だと思いますので、地域に根差したインフラを自負する廃棄物処理企業の方は、早速自社の取組みとして取り入れていただきたいところです。

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