富山市の随意契約中止が控訴審でも違法と認定される

富山市と産業廃棄物処理業者の間で汚泥の堆肥化に関する随意契約を長年締結していたが、富山市の方針転換により、急に指名競争入札に変更したことが違法かどうかが裁判で争われました。

1審の富山地裁では、富山市に違法性があったとして、2億3300万円の損害賠償が命じられました。
※当ブログ 2014年3月27日付記事 「富山市側の随意契約中止が違法と認定された事例

その後、富山市と産業廃棄物処理業者の双方が控訴し、名古屋高裁金沢支部で再び審理が行われましたが、控訴審でも富山市の随意契約中止が違法と判断され、富山市に9600万円の損害賠償が命じられました。

2015年11月11日付 チューリップテレビ 「富山市に9600万円の賠償命令 汚泥処理の契約めぐり控訴審

 汚泥の処理について富山市から業務委託を受けていた東京の産業廃棄物処理業者が、随意契約を市側が指名競争入札に変更したのは違法行為だとして、損害賠償の支払いを求めた控訴審の判決です。

 名古屋高裁金沢支部は、富山市に9600万円の賠償を命じました。

 この裁判は、汚泥を処理する業務を富山市から委託されていた東京の産業廃棄物処理業者、立山エンジニアリングが「事業を廃止するまで」との合意のもと、1986年から2010年まで続けていた随意契約が、市側の方針転換で指名競争入札に変更されたのは違法だとして、市に対し想定された営業利益など11億2500万円の支払いを求めたものです。

 一審の富山地方裁判所は、2009年に立山エンジニアリングが工場に設置した脱臭装置の費用を市側が負担すると提案していたことに触れ、「原告の期待は法的保護に値する」として、市側に2億3300万円の支払いを命じ、双方が控訴していました。

 11日の控訴審判決で名古屋高裁金沢支部の内藤正之裁判長は、立山エンジニアリングが市側に脱臭装置の設置費用を過大に申告していたと指摘した上で、「そのような背信性は全面的な法的保護に値せず、賠償額を減額すべき」として、市側に9600万円の支払いを命じました。

 判決を受けて富山市は、「顧問弁護士と協議の上、今後の対応を慎重に検討したい」としています。

ただし、損害賠償額は、1審の2億3300万円から、控訴審では9600万円と大幅に減額されています。

チューリップテレビの報道によると、産業廃棄物処理業者側の脱臭装置設置費用の申告額が課題であったために、控訴審での賠償命令額は大幅に減額されたようです。

このエントリーを含むはてなブックマーク

タグ

トラックバック&コメント

この投稿のトラックバックURL:

コメントをどうぞ

このページの先頭へ