不法投棄犯が判明する単純な理由

040029捨てられたゴミ袋には捨てた人の名前が書いてありませんが、捨てられたゴミの量が多ければ多いほど、それを捨てた人物の氏名が高確率で判明する理由があります。

それを端的に示した記事が次の毎日新聞の記事です。

2015年12月5日付 毎日新聞 「ビール缶、3年分ため込む 処分困り海に投棄 周南の男、容疑で書類送検 /山口

「ごみ収集日を知らなかった」

 徳山海上保安部は4日、ビールの空き缶の入った、ごみ袋14個を海に捨てたとして、周南市内のトラック運転手の男(42)を廃棄物処理法違反容疑で地検周南支部に書類送検した。「自宅で飲んだ缶を3年間分ため込み、処分に困った」と容疑を認めている。

 送検容疑は今年5月5日早朝、同市入船町の徳山下松港の船だまりで、ごみ袋14個計約30キロを自宅から運んで捨てたとしている。ごみ袋には、空き缶864本が入っており、銘柄はほぼ同じ第3のビールだった。「仕事柄留守が多く、ごみ収集日を知らなかった。ごみ袋は28個捨てた」と供述している。

 徳山海保によると、6日朝に船舶関係者から「大量のごみ袋が海に浮いている」と通報があった。海保のほか、企業などでつくる「県周南清港会」も協力しごみ袋計24個を回収できたが、破れた袋もあり、沖に流されたごみがあったという。袋の中から男の名前の入った物が見つかり容疑者を特定した。

どうやらビール缶だけではなく、雑多な生活ごみを分別せずにゴミ袋に入れ、そのまま海に投棄。

ゴミ袋の一部から、ダイレクトメールや請求書等の郵便物が出てきたため、行為者が容易に判明したものと思います。

ビールのアルミ缶だけを分別して捨てていたならば、不法投棄犯が判明することもなかったかもしれません。

もっとも、ルールを守って分別保管する人が、わざわざ海まで行ってゴミ袋を28袋も捨てることも有り得ませんが(苦笑)。

せっかく3年間もアルミ缶を溜め続けていたのであれば、スクラップ業者に売れば小遣い程度にはなったものを・・・
ただし、仮に30kgすべてがアルミ缶だったとしても、数千円程度にしかなりませんが。

この事件は一般廃棄物の不法投棄ですが、産業廃棄物の不法投棄や大量堆積事案でも、同様の経緯で排出事業者が誰かを確知されることがあります。

筆者が行政官当時に遭遇した不法投棄事件の中には、ある中学校の備品が大量に不法投棄されていたため、解体工事の元請事業者がすぐわかったという事例がありました。

それにしても、
『銘柄はほぼ同じ第3のビールだった。』という、事件の本質や悪質性とは無関係な記述に、記者の何らかの意図が感じられます(笑)。

このエントリーを含むはてなブックマーク

タグ

トラックバック&コメント

この投稿のトラックバックURL:

コメントをどうぞ

このページの先頭へ