伝説の愚か者バトル

連日取り上げてきた「埼玉県彩の国資源循環工場での不法投棄事件のその後」をまた取り上げます。

毎回「もう続報もないだろう」と思っているのですが、東京新聞がネタを小出しにして興味を引っ張り続けています(笑)。

2017年2月4日付東京新聞 「産廃不法投棄 業者不処分問題 「産廃、裏に捨てろ」業者関係者が証言

 県が設置した産業廃棄物の総合リサイクル施設「彩の国資源循環工場」(寄居町)で、不法投棄をした産廃業者「埼玉環境テック」が許可取り消し処分されず、八潮市の建設会社「豊田建設」(先月から事業停止)が事業を承継した問題で、テック社幹部が、産廃の過剰保管を隠すため、従業員に「建物の裏に廃棄物をまけ」などと指示していたことが分かった。当時の状況を知る豊田建設関係者が、本紙の取材に証言した。 

(中略)

 本紙が県に情報公開請求した資料や県などへの取材によると、県は二〇一五年十一月三十日、外部からの通報で、同工場内のテック社施設を立ち入り検査。

 建物裏側の敷地にがれきや金属くずなど未処理の産廃百九十一トンが、重機でならされて敷き詰められているのを見つけた。翌日にテック社社長らから聞き取った内容をまとめた報告書には、「九月中旬ごろに砕石と間違って廃棄物を敷き詰めてしまった」と記載されている。

191トンというのは不法投棄量としてはかなり多い部類に入ります。

10トンダンプで運ぶ場合、約20台の運搬量です。

1件あたり10トン以上の不法投棄については、環境省が毎年公表している不法投棄統計の反映対象となりますので、おそらく今年末に公表される不法投棄統計では、埼玉県で発覚した不法投棄量が激増することでしょう。

非常におめでたいのは、「191トンもの廃棄物を砕石と間違える人がいたこと」と、「それを鵜呑みにする行政があったこと」です。

もっとも、常識的に考えると、善意でそのように信じる人がいるとは思えませんので、そのように「信じなければならない」理由や必然性があったと思われます。

大雑把に不法投棄物の比重を「1.5」とすると、191トンの廃棄物の体積は約130立方メートルになります。

それを1メートルの深さで埋めたならば、不法投棄面積は130平方メートルとなります。

正確な寸法はわかりませんが、工場建屋の裏側に埋めたということなので、おそらくは細長い場所なのでしょう。

勝手にその面積を想像すると、奥行き3メートルの場合は、幅約40数メートルとなります。

1メートル以上の深さを掘ったのであれば、さらに面積は小さくなり得ますが、穴の深さを深くすればするほど、意図的な不法投棄の臭いが強くなります。

だいたい、建屋の裏側になぜ砕石(?)をそんなに深く敷き詰める必要があるのよ(苦笑)。

もっと理解できないのが、下記の部分

 しかし、関係者によると、テック社の工場内には未処理の産廃が過剰保管されており、廃棄物処理法の規定に違反した状態だった。このため同社幹部は、県の見回り調査などで過剰保管が発覚しないように、応援に来ていた親会社の従業員に、敷地内の建物の裏に敷き詰めて捨てるよう指示。

 さらに、県の立ち入り検査でこの不法投棄が発覚すると、幹部は従業員に「(処理済みの)再生砕石と間違えてまいてしまったことにしろ」などと口裏を合わせるように命じたという。

未処理の産業廃棄物の過剰保管だけであれば、「保管基準違反」として、改善命令や事業停止処分の対象になることはあっても、刑事罰の対象になることはありません。

それなのに、超過保管状態を隠蔽するためだけに、刑事罰や許可取消の対象にもなる「不法投棄」を手間暇掛けて行っています。

これは非常に不合理な行動です。

人間は常に合理的に行動するわけではありませんが、今回の不法投棄実行者の行動のおかしさを例えて言うならば、
「赤信号で歩道を横断した事実を隠蔽するために、目撃者全員を殴打して回る」ようなものです。

そんな割に合わない行動をする人はさすがにいないと思っていましたが、「事実は小説よりも奇なり」で、不合理極まりない行動を好んで選択する人が実際にいたわけですね。

そのような指示をした人間の素性が明確に書かれていませんが、東京新聞の記事から推測をすると、産業廃棄物処理業者である「埼玉環境テックの幹部」のようです。

法律の罰則も知らずに、よく経営をしていたものだと感心しました。


記事のタイトルは、「伝説のオウガバトル」をもじったものです(笑)。

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