指示伝達の作法

廃棄物の野外焼却が直罰化されたのは2001年からですので、今年で20年目となります。

個人的には、私が廃棄物処理法と初めて接したのがその時からですので、私の廃棄物処理法との関わりも20年目となります。

そう考えると、20年などはあっという間であったような気がしますが、
法律という世の中のルールが定着する期間としては、20年間はそれなりの重みを持った、必要十分な長さであると思います。

しかるに、「5年以下の懲役、もしくは1千万円以下の罰金またはこれの併科」という重罰の対象であるにもかかわらず、いまだに廃棄物の野外焼却の違法性を知らない人が非常に多いことも事実です。

そのため、組織内の仕事を割り振る場合、
「野外焼却が違法であることは常識だ」ではなく、
「野外焼却を違法と知らない人が数多くいる」という前提に基づき対策を考え、各構成員に仕事をしてもらう方が安全です。

以上のことを頭に置きつつ、下記の報道内容をお読みいただくと、問題の背景をより深くご理解いただけると思います。

2021年2月25日付 RKK「熊本市の職員が刈り草焼却で延焼 皆さんもご注意を

熊本市は、職員が原因で火事が起きていたことを明らかにしました。

「管理人の男性が廃棄物の草を焼却処分しようとしたところ、火はあっという間に燃え広がったということです。廃棄物を屋外で燃やすことは法律で禁じられています」(記者)
24日午後1時半ごろ、北区の公園に隣接する敷地で、管理人の男性(60代)が刈られた草を燃やしたところ火が燃え広がり、消防車3台が出動する事態となりました。

火は10分ほどで消し止められましたが、およそ450平方メートルが焼けました。

けがをした人はいませんでした。

男性は刈り草の焼却が違法という認識がなかったということで、市は、この男性の処分も含め対応を検討しています。

「(別の管理者の問い合わせに)一般廃棄物として取り扱うので屋外焼却はしないようにと言ってあった経緯があったので、そうした申し送りが今回の方には十分に伝わっていなかった

Q.対策としては?
「(処理のルールを)徹底するしかないと思います」(市の担当者)

熊本市自体には「野外焼却は違法」という認識があったことが救いです。

残念なのは、それを「申し送り」という「口頭の指示」に止めていた点。

口答指示を続ける限り、野外焼却を違法と思わない人が現れれば、またすぐに野外焼却されてしまうことでしょう。

今後の社会状況次第では、外国籍の労働者に働いてもらう場面がますます増えてくると思われますが、その時に、口答指示ですべてが足りるとはとても思えません。

また、口答指示ではなく、文書指示に切り替えたとしても、その指示内容が明白、かつ明確でないと、意味の無い自己満足な「お触れ」と何ら違いはありません。

現状から、「基礎的な知識を持たない人」に向けた、明白、かつ明確な文書による指示方法を研究・実践しておかないと、これから強まる人材減少の状況に対応できそうにありません。

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