リアル・まきびし

高速道路を走行する大型トレーラーの荷台に積まれていた金属片が大量に散乱し、後続車を次々とパンクさせる事故が発生しました。

2021年8月12日付 上毛新聞 「上信越道に金属片が散乱 車両30台以上がパンク トレーラーの積み荷から落下か

 11日午前11時50分ごろ、上信越道下り線の下仁田インターチェンジ(IC)―松井田妙義IC間を通行していたドライバーから、「車が路上の金属片でパンクした」との110番通報が相次いだ。群馬県警高速隊によると、大型トレーラーの積み荷の金属片が路上に散乱し、通行車30台以上がパンクした。けが人はいなかった。

 高速隊によると、パンクした車は路肩やサービスエリア(SA)などに退避し、車同士の衝突はなかった。金属片は同区間の広い範囲に散乱し、同隊やネクスコ東日本が回収した。現場周辺を一時、時速50キロの速度規制とした。

冷静なドライバーが多かったのか、車の大破や怪我人が出なかったことが不幸中の幸いです。

上毛新聞のサイトには、散乱物の画像が掲載されていますが、鋭利に尖った金属片が道路上に散乱した様子を想像するだけで冷や汗が出そうです。

忍者が逃走する際に使用したとされる「撒き菱(まきびし)」を彷彿とさせる鋭利なフォルムでした。

もちろん、今回の事故の原因となった金属片は、撒き菱のように意図的に撒かれたものではありません。

また、記事を読む限りにおいては、金属片が産業廃棄物なのか、有価資源なのかは定かではありません。

しかしながら、パンクした車が衝突することで、死者が発生する可能性すらあった大惨事一歩手前の事故であったと言わざるを得ません。

いまだに根絶できない労働災害の発生原因にも共通する話かと思いますが、
大惨事を引き起こしかねない要因の一つとして、
「想像力の欠如」を挙げねばなりません。

金属片は荷台後部にある「あおり」と呼ばれるゲートから落下したとみられる。現場前のSAで確認した際は閉まっていたが「段差に乗り上げた際、衝撃で隙間ができてしまったのかもしれない」と話した。

画像を見る限り、薄く小さな金属片であるため、私のような門外漢からすると、高速道路上を走る大型車の荷台から容易に散乱しそうな代物に見えます。

実際に散乱した理由はまだ解明されていませんが、散乱が実際に起きた以上、「こぼれ落ちることはないだろう」ではなく、「こぼれ落ちるかもしれない」という前提で荷積みを行う必要があります。

私を含めて、世の中の大部分の善良な人間は、自ら事故を引き起こす可能性を一顧だにせず、日々自分の仕事をこなすことだけに邁進しています。

こうした普通の人が急に加害者とならないためにも、自分が行っている行為が引き起こす(かもしれない)危険性について、行動する前に想像する習慣をつけたいものです。

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