二人の囚人がリサイクルボックスを眺めた

「二人の囚人が鉄格子から外を眺めた。 一人は泥を見た。一人は星を見た。」

筆者世代だと、「ジョジョの奇妙な冒険」の第1部の冒頭で、初めてこの詩に接した人がほとんどだと思います。

記憶がいつの間にかすり替わっていましたが、荒木飛呂彦さんの創作した詩ではなく、アイルランド人の詩人フレデリック・ラングブリッジの詩だそうです。

同じ状況に置かれた場合でも、人によって「見ている物」や「見た物のとらえ方」が大きく異なることを見事に表現した詩です。

昨年のプレスリリースになりますが、フレデリック・ラングブリッジの詩が真っ先に思い出されたものをご紹介します。

2020年10月20日付 一般社団法人全国清涼飲料連合会 「リサイクルボックスに関する消費者意識調査2020

普段、街中でペットボトルや缶以外のゴミが出た場合、どこに捨てることが多い?
最多は「自動販売機の横にあるボックス」53%

自動販売機の横のボックスにペットボトル・缶・ビン以外のゴミを入れた理由
「捨てる場所がなかった」という回答が多数、そのほか「ポイ捨てよりはましだと思った」など

4 割強が「自動販売機の横のボックスはゴミ箱ではなく、
飲料容器専用のリサイクルボックスであることを知らなかった」と回答

「自分のパートナーがリサイクルボックスにゴミを捨てたら幻滅する」男性の 82%、女性では84%

ゴミの分別をしっかりしていそうなアニメキャラ
TOP5「ドラえもん」「江戸川コナン」「アンパンマン」「源静香」「フグ田サザエ」

まずは苦言から。

ドラえもんとサザエさんがゴミの分別をしっかりやっていそうかどうかなんてどうでも良い話です。

バズることを目的としたネタとしか思えません。

ドラえもん云々があることで、上段のまともなアンケート結果のインパクトが薄れたように思います(苦笑)。

せっかくの啓発効果を、ドラえもんやアンパンマンで相殺された気がしますので、改めて、しずかちゃんは最初から登場しなかったものとして、資料を読み返したいと思います。

普段、街中でペットボトルや缶以外のゴミが出た場合、どこに捨てることが多い?
最多は「自動販売機の横にあるボックス」53%

まず、問題文の問いかけ方が鬼畜です。

不法投棄させることが前提のような設定です(笑)。

しかし、だからこそ率直な答を引き出せたと言えます。

法律的に正しい答は、「自宅に持ち帰って、自宅のゴミ箱に捨てる」ですが、
「旅の恥はかき捨て」とばかりに、過半数の人が自販機横のリサイクルボックスに脊髄反射をして、不法投棄をするようです。

自動販売機の横のボックスにペットボトル・缶・ビン以外のゴミを入れた理由
「捨てる場所がなかった」という回答が多数、そのほか「ポイ捨てよりはましだと思った」など

これは当然、答が鬼畜です。

そもそも、「捨てる場所」などと言う場所は、法律的には日本のどこにも存在しません。

「捨てる場所」が無い以上、自宅に持ち帰って、市区町村のゴミ回収日に出すしかないわけですね。

「ポイ捨てよりはまし」というのは、あくまでも不法投棄者自身の主観であって、実際には、ポイ捨て、すなわち不法投棄と変わりません。

4割強が「自動販売機の横のボックスはゴミ箱ではなく、飲料容器専用のリサイクルボックスであることを知らなかった」と回答

4割強なので約半数の人がリサイクルボックスを「ゴミ箱の一種」としか見ていなかったことになります。

習慣化とは恐ろしいもので、現実をゆがめて理解した人は、それ以降そのゆがみに気づくことなく、延々と間違った行動をし続けるということですね。

では、正しく現実を理解させるためにどうすれば良いかですが、
現在の施策と反対に、繰り返し繰り返し「飲料容器以外の混入はダメ!ゼッタイ!」を徹底するしかないのではないでしょうか。

また、飲料容器を回収後に、それを分別・リサイクルしている人の肉声も非常に重要になってくると思います。

自宅で家族が作ってくれたご飯が乗っていた食器に、「タバコの吸い殻」や「タピオカ容器」を突っ込むサイコパスはほとんどいないと思いますので、
現場で実際に働く人に、その人が被る迷惑やストレスについて語っていただき、
ポイ捨てによって被害を被る人が、個性と感情を持つ生身の人間であることを、日本国民全体に知らしめることが不可欠と考えます。

自分の短慮によって損害を受ける人間の存在を意識させることさえできれば、
世の中には、鬼畜やサイコパスはそれほど多くないと思いますので、
リサイクルがさらに進展していくことでしょう。

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