千葉市がスクラップ置き場の設置を許可制に

最近では、ほぼ週に1回以上の頻度で、雑品スクラップヤードの火災事故が報道されるようになりました。

リチウムイオン電池があらゆる電子機器に使用されるようになり、利便性が高まった反面、廃棄する際に発火や火災の原因になることが急増しているように思います。

本来なら、法律で規制をかけるべき状況にあると思いますが、国会議員のエライ先生方は誰一人関心をお持ちでないご様子で、議員立法しようという気概の有る人の話はトンと聞きません。

こうした国の姿勢に業を煮やしたのか、スクラップヤードの設置を許可制にし、違反した場合は懲役刑を科すという全国初の条例が千葉市で制定されました。

2021年10月1日付 朝日新聞 「スクラップ置き場設置、許可制に 千葉市が全国初の条例案、罰則も

 千葉市は1日、山積みのスクラップの崩落や騒音など、近隣トラブルが増加している再生資源物の屋外保管場について、設置を許可制とする条例案を発表した。違反すれば刑事罰(1年以下の懲役)の規定も設ける。一般的な「届け出制」より厳しく、市が検察庁に確認したところ、条例が成立すれば全国初になるという。

 設置基準として、住宅、学校、病院などから100メートル以上離れた土地▽囲いの設置▽油・汚水の地面への浸透防止措置の実施▽スクラップの山の高さを5メートル以下にする――などを決めた。市の立ち入り検査の実施や住民説明会の開催についても規定した。

可決された条例の詳しい内容を報じたニュースが見当たらなかった(概要を報じたものはあった)ので、可決される前の段階の記事を転載しました。

千葉市においては無許可設置が懲役刑の対象になったため、国が立法化に向けて動き始めるきっかけになるかもしれません。

昨今は、国が地方自治体の規制手法を追随することが多いのですが、多くの自治体で仕方なく条例によって規制している「盛り土」を対象とした法律をすぐに作っていただきたいものです。

さて、地方自治体としてイニシアチブを取り、法規に則って危険な有価物(?)の集積を規制しようという千葉市の姿勢は称賛に値します。

唯一の懸念は、

周辺300m以内の居住者、地主、家主等を対象とした説明会を開催すること

を許可要件としていることでしたが、

千葉市が行ったパブリックコメント募集の際に出された

説明会の実施について自治会等と協定書等を締結する等の双方の努力を促す内容が欲しい。双方合意しなければ許可しない等の要件が相応しい。

という意見に対し、

千葉市からは

周辺住民の同意及びそれに類するものを許可要件とすることは、営業の自由を過剰に侵害するおそれがあり、難しいと考えます。

という見解が示されていますので、私の懸念は単なる杞憂で、「事業者の経済活動の自由」と「住民の安心」の双方に配慮した仕組みになるようです。

パブリックコメントに対する千葉市の回答を見ていると、行政としてのバランス感覚に優れた公平なものばかりでした。

今後の千葉市においては、安全と安心の両面で実効性の高い規制が行われるものと思いますので、国や他の地方自治体の範となるような成功事例となることを期待しています。

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