改正フロン排出抑制法違反での初検挙事案

東京都の発表によると、警視庁が改正フロン排出抑制法違反で全国初の検挙をしたそうです。

2021年11月9日東京都発表 「改正フロン排出抑制法違反で警視庁が全国初の検挙

東京都の発表内容では被疑者の法人名を明記しているため、警視庁の発表内容の方を引用します。

フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律違反事件被疑者らの検挙について(情報提供)

警視庁生活安全部生活環境課は、みだしの事件で被疑者3 名及び被疑法人2社を東京地方検察庁立川支部へ書類送致した。本事件については、解体工事発注者や建設・解体業者における認識不足等から惹起された事案と認められることから、それぞれの業者に対して、指導徹底を図るとともに、再度発生することが無いよう情報提供する。

1 送致年月日
令和3年11月9日(火)

2 被疑者
A 自動車販売会社 社員
B 解体業者 役員
C 解体業者 社員

3 被疑法人
甲 東京都所在
自動車販売会社
乙 東京都所在
解体業者

4 事案の概要
(1) 被疑者A、被疑法人甲
被疑者Aは、被疑法人甲の業務に関して、令和3年2月6日頃から同年3月8日頃までの間、第一種特定製品であるエアコンディショナーに冷媒として充填されているフロン類の第一種フロン類に関して、充填回収業者への引き渡しを他の者に委託する際に、法令で定める事項を記載した委託確認書を交付しなかったもの。
(2) 被疑者B・C、被疑法人乙
被疑者 B・C は、被疑法人乙の業務に関して、令和3年3月5日頃から同月8日頃までの間、東京都八王子市大和田町2丁目16番24号に所在する営業所の解体工事に関して、第一種特定製品であるエアコンディショナーに冷媒として充填されているフロン類の第一種フロン類を、大気中にみだりに放出したもの。

5 罪名・罰条
フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律
(1) 被疑者A、被疑法人甲
罰条:同法第43条第2項(第一種特定製品廃棄等実施者による書面の交付等)
罰則:同法第105条第2号(30万円以下の罰金)
両罰:同法第108条(30万円以下の罰金)
(2) 被疑者B・C、被疑法人乙
罰条:同法第86条(フロン類の放出の禁止)
罰則:同法第103条第13号(1年以下の懲役又は50万円以下の罰金)
両罰:同法第108条(50万円以下の罰金)
刑法第60条(共同正犯)

警視庁の発表内容は簡易明瞭でいつも素晴らしいです。

警視庁は廃棄物処理法違反に関する情報提供も以前より行っています。

他の道府県の警察もこのような情報提供を独自に行っていただくと、より法律の規制に関する認知が進むことは間違いありません。

改正フロン排出抑制法が施行されたのは2020年4月1日からですので、施行後1年経ってからようやく初検挙という状況は個人的には意外でした。

地球を取り巻くオゾン層を破壊するという地球規模のテロ的な犯罪と言えなくもないと思っていますが、「30万円以下の罰金」という廃棄物処理法と比較すると軽く見える刑罰を見ると、「検挙数の少なさもさもありなん」と納得しました。

東京都の発表から、業務用冷凍空調機器の所有者と解体業者の注意点を抜粋しておきますので、該当する方は十分にご注意ください。

管理者・建設解体業者の責務等について
(1)管理者の責務
業務用冷凍空調機器を廃棄する場合は、必ず充填回収業者にフロンの回収を依頼してください。フロン回収が証明できない機器は、廃棄物リサイクル業者は引き取ることができません。
フロン回収を証明する引取証明書は3年間保存してください。
解体工事の場合は、委託業者から業務用冷凍空調機器の有無を事前説明された書面を3年間保存してください。

(2)建設・解体業者の責務
解体する建物において、業務用冷凍空調機器の有無を事前確認し、その結果を書面で発注者に説明し3年間保存してください。
対象機器がある場合は、発注者にフロン回収を依頼してもらうか、発注者から委託確認書をもらいフロン充填回収業者にフロン回収を依頼してください。
機器の廃棄にあたっては、フロン回収を証明する引取証明書の写しとともに廃棄物・リサイクル業者へ機器を引渡してください。

最後に、環境省のフロン排出抑制法に関するまとめサイトも掲載しておきます。
フロン排出抑制法

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