従業員の個人的犯罪か?それとも

2022年1月24日付 テレビ朝日 「夜間でばれないだろうと思った」産廃をトラックで走行しながら道路に捨て書類送検

 運転手の男性は「夜間でばれないだろうと思って捨てた」と話しているということです。

 東京・葛飾区にある産業廃棄物の運搬会社と、この会社の運転手の男性(57)は去年6月の未明、東京・荒川区の路上にアスファルトのくず、約450キロを不法投棄した疑いで書類送検されました。

 警視庁によりますと、男性は「前日の朝から仕事で疲れがあり、夜間でばれないだろうと思って捨てた」と容疑を認めているということです。

 男性は都内の工事現場で余った産業廃棄物であるアスファルトのくずを埼玉県に運ぶ途中でした。

不法投棄を実行した運転手のみならず、使用者である法人も書類送検されています。

ご存じのとおり、これが「両罰規定」です。

よほどのミラクルが起きない限りこのまま刑事事件として立件されると思われますので、刑罰が確定した時点で、産業廃棄物処理業の許可は取消されることがほぼ確実な状況です。

テレビ朝日の報道サイトでは、住宅街の道路上でダンプの荷台を上げ、アスファルトをそのまま道に捨てる画像が報道されていました。

「夜間でばれない」どころか、「絶対に翌朝すぐに見つかる」杜撰な不法投棄と言わざるを得ません。

ニュースの見出しを見た段階では、「自爆行為に近い荒っぽい不法投棄をされた使用者側は気の毒かも」と思いましたが、
運転手の「前日の朝から仕事で疲れがあり、夜間でばれないだろうと思って捨てた」というコメントに、引っかかりを覚えました。

具体的な勤務状況が分かりませんが、さすがに「前日の朝から翌日の深夜まで」働き詰めということはなかったのだろうと思われます。

ただし、不法投棄時間が「未明」とあるように、勤務時間が深夜に及んでいたのは確かなようです。

深夜の時間帯に運転という労働をさせる以上、運転者のメンタルや健康状況に配慮が必要という点については、衆目の一致するところでありましょう。

ひょっとすると、今回の不法投棄実行者は、「8時から勤務開始で17時に終業予定」だったところを、「17時以降も深夜の運搬まで会社でずっと待機しておけ」という勤務が続き、疲労のために冷静な判断ができなくなっていたのかもしれません。

人間、疲労の度合いが度を過ぎると、普段なら絶対にしない危険な行為をすることがよくあります。

もちろん、運転手の性格や資質も非常に重要な要素ではありますが、労務環境を可能な限り整えることで、不法投棄されるリスクを減らす方が、建設的な対策ではないでしょうか。

「中小零細企業で従業員にそこまで配慮できないよ」という反感を持った経営者の方がいらっしゃるかもしれませんが、「物流の2024年問題」として一言に凝縮されている、ドライバーの労務環境の改善はもはや待ったなしの状況です。

ちなみに、「物流の2024年問題」とは、
「2024年4月1日以降、自動車ドライバーの時間外労働時間の年間上限が960時間に制限される」ことを指します。

労務環境の改善のためには、業務効率の大幅な改善とともに、収集運搬単価の値上げもおそらく避けられない状況だと思います。

企業経営者にとっては、以前なら数年掛けてゆっくり取り組めた課題を、一挙に短期間で、それも同時並行で解決しなければならないという、大変厳しい局面に既に入っています。

皆さん 一緒に頑張っていきましょう・・・

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