養殖事業のボトルネック

またもや、公務員による、公務時に発生した廃棄物の不法投棄事件が発覚しました。

最近、公務員の不法投棄が増えているような気がしますので、「公務員の不法投棄」といったカテゴリーをブログ内に設けるべきかと一瞬悩みました。

しかし、そのようなカテゴリー名を使用すると、「単なる公務員嫌いのひねくれ者」という印象を与えかねませんので、今のところ使用するつもりはありませんが、良い機会ですので、公務員の不法投棄を重大視する理由を明らかにしておきます。

公務で発生した廃棄物については、基本的には廃棄物処理費が必ず予算措置されています。

もちろん、予算時の想定と実際の廃棄物発生量が異なることが多々ありますが、その公務員が故意、または重大な過失に基づいて発生させた廃棄物でない限り、公務員に対し、廃棄物処理費の負担が求められることはまずありません。

廃棄物処理を行う費用があるにもかかわらず、「面倒だから」その他の理由で、公務員が安易に不法投棄を行うことは、「処理費を捻出できなかったので不法投棄をした」ことと比べると、非常に悪質だと考えるからです。

今回ご紹介する事件は、現役副町長が不法投棄に関与し、書類送検されるという、珍しいケースです。

2022年3月3日付 朝日新聞 「ホタテ貝殻付着物から出た廃液不法投棄容疑 副町長ら書類送検

 養殖ホタテの貝殻に付いた海藻類などを発酵させて堆肥(たいひ)にする過程で出た廃液を北海道豊浦町の山林に投棄したとして、道警は3日、小川英紀副町長(62)や町職員、業者ら計7人を廃棄物処理法違反(不法投棄)の疑いで書類送検し、発表した。いずれも容疑をおおむね認めているという。

 副町長のほかに書類送検されたのは、町の廃棄物処理施設の担当課職員3人、施設を管理する協同組合幹部1人、廃棄物処理業者の役員ら2人。生活経済課によると、7人の容疑は共謀のうえ、昨年5月下旬に廃液3トンを町内の山林に捨てたというもの。

捨てた廃液の発生工程は

 町によると、施設では養殖ホタテの貝殻に付いた海藻類などを発酵させたものを堆肥にしていたが、機械の作業効率が落ちたため使い切れなくなり、余った分を廃液として捨てたという。

とのことです。

朝日新聞の記事では「使い切れなくなり」とありますが、発酵させた物を使うこと自体が目的ではなく、堆肥にすることが最終目的ですので、
正しくは「処理しきれなくなり」ではないかと思います。

しかしながら、堆肥にできていたとしても、その堆肥の需要が無ければ、売れない、あるいは使われない不良在庫を延々と積み上げるだけとなりますので、今度は堆肥を不法投棄しなければならなくなりそうです(汗)。

食糧事情の解決や水産資源維持のためには、魚介類の養殖は避けて通れない手段ですが、「ホタテの貝殻」や「魚の骨」のように、人間が食べない部分は不用物として残ることになりますので、養殖技術の研究発展のみならず、養殖副産物の処理や再利用手法も同時に普及させることが不可欠と言えます。

物事の明るい側面だけにスポットライトが当てられがちですが、光の当たらない陰の部分も見据えなければ片手落ちと言えましょう。

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