誰もが通る道

最近は、廃棄物処理法関連では、全国紙よりも地方紙の方に切り込み方が鋭い記事が多いように思っています。

今回取り上げる記事もその一つです。

2022年3月20日付 京都新聞 「高齢化で「紙おむつごみ」問題浮上 水分多く、焼却施設に負担 再利用案も

 高齢化が進む中、紙おむつのごみ量が増加の一途をたどっている。環境省は、2030年度に一般廃棄物の7%近くを使用済みおむつが占めると推計し、環境保護や焼却処理コスト低減の観点から、ごみ減量を呼びかける。京都市では増加傾向を注視している状況だが、一部自治体では分別回収やリサイクルの動きも出始めた。

(略)

 おむつごみは水分を多く含むことから、焼却施設の燃焼効率を悪化させ、二酸化炭素(CO2)排出量増加の要因になる。また助燃剤を投入して火力を高める必要があるため、焼却設備の短命化にもつながるという。

紙おむつを使うことで、介護者の負担が激減することは誰もが知っています。

被介護者にとっても、紙おむつを使用することで、排せつの不如意に対する抵抗感が大いに減少するものと思います。

誰しも紙おむつのお世話になりたくはありませんが、高齢化が進めば進むほど、人間の暮らしには紙おむつが不可欠になっていくことは間違いありません。

そのため、「紙おむつの排出を減らせ」と言われても、それを実現することは非常に困難と言わざるを得ません。

排出抑制が不可能である以上、焼却施設の負担減少を図るためには、焼却施設に入る紙おむつを減らす方法を探るしかありません。

論理的には、その方法は「紙おむつを再生利用する」しかない、と言えるのではないでしょうか。

国土交通省が検討している「使用済み紙おむつを細かく破砕して、そのまま下水に流せるようにする」という案は、下水処理場で回収しきれない微細な紙おむつの破片を、河川や海にまき散らすことになるため、環境的、そして倫理的にも問題がある方法だと考えます。

 (ユニ・チャーム)が提携する鹿児島県志布志市では、使用済みおむつを分別回収し、処理施設でパルプとして再資源化する取り組みが既に始まっている。衛生面については、オゾン処理などで細菌類が検出限界以下となることを確認。同社は再生パルプを使用した介護施設向けのおむつ製品を、今年前半にも販売開始するという。

技術的には、使用済み紙おむつを再資源化する手段が既に確立されていますので、「再資源化への抵抗感」や「不信感」をいかに払しょくするかという局面に入っています。

 ユニ・チャームのリサイクル製品も現時点では、肌に触れない部分にのみ再生パルプを使う予定といい、リサイクル事業推進室は「再利用に抵抗を感じる人もいる。今後は消費者の理解醸成や、介護現場の負担にならない仕組みづくりが必要だ」と話していた。

「肌に触れる部分にも」再生パルプが普通に使われる状況になるのは、意外と早そうな気がします。

関係者の皆様には、安全性や品質に問題が無いことを徹底的にアピールしていただき、消費者の不安を一日でも早く払しょくしていただくことを期待しております。

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