委託基準違反で逮捕

新聞によって不法投棄された量の数値が異なりますが、産経新聞の記事をご紹介します。

2022年9月15日付 産経新聞 「コロナワクチン接種済証シールを不法投棄 資源回収業の男逮捕 警視庁

新型コロナウイルスワクチンの接種済証のシールを不正に捨てたとして、警視庁生活環境課などは、廃棄物処理法違反の疑いで、東京都(略)、再生資源回収業Y紙業の社長(氏名略)(56)を逮捕した。シールの処理を委託したとして、印刷物加工業Bの社長の男(64)も同容疑で書類送検した。いずれも容疑を認めているという。

生活環境課によると、Bは、接種済証のシールを製造していたが、ワクチンの輸入中止で、シールが不要になった。Bはシール5・4トン(678万人分)の廃棄をY紙業に依頼。シールは主原料がプラスチックのため、本来は産業廃棄物にあたるが、Y紙業は産廃処理業の許可を受けておらず、一般ごみとして廃棄したとみられる。

たしかに、ワクチン接種済証は、全面的に貼り付け可能なシール状ですので、「紙」というよりも、「廃プラスチック類」として扱うことが適切です。

「紙みたいだから、古紙回収業者に頼めば良いんじゃね?」と軽く考えていたように思えますが、排出事業者であるシールの印刷会社も逮捕された点が重要です。

記事では、古紙回収業者に産業廃棄物処理業許可が無かった点が挙げられていますが、仮に「廃プラスチック類」の収集運搬業許可を所持していたとしても、
産業廃棄物を一般廃棄物と偽ってみだりに投棄している以上、「不法投棄をした」ことが免責されることはありません。

容疑としては、古紙回収業者は「不法投棄」と「(産業廃棄物収集運搬業の)無許可営業」
印刷会社は「無許可業者への処理委託」となりますが、
いずれも廃棄物処理法第25条の罰則「5年以下の懲役、もしくは1千万円以下の罰金、または併科」の対象となります。

排出事業者が、「処理費が安い墨田区の清掃工場に持って行けYo!」と言ったわけではなくとも、「不適切な相手に委託をした」だけで重罪の適用対象となることを、世のすべての排出事業者に認識させる良い事例となりました。

さて、微笑してしまったのが記事の下記の部分

シールが産廃であるにもかかわらず、令和4年4月下旬、シール約4・4トンを墨田清掃工場(墨田区)に一般ごみとして持ち込み、廃棄したとしている。残り1トンも廃棄しようとしたが、清掃工場の職員に看破され、処理できなかった。

「看破」で、最近まで「信長の野望・新生」に夢中になっていたためか、同作中の黒田如水を連想してしまいました(笑)。

実際には、「看破」というよりも、「見とがめられた」という方が正確な気がしますが、
箱の中身を見ることなく、シャーロック・ホームズのように、容疑者の顔色だけから「看破」したのかもしれません。

「看破」って、とってもヒロイックな表現ですね。

このエントリーを含むはてなブックマーク

タグ

トラックバック&コメント

この投稿のトラックバックURL:

コメントをどうぞ

このページの先頭へ