材料として無償譲渡でどうでしょう?

一時期、市町村サイドから「事業活動で使用したアクリル板は産業廃棄物です」という周知が急増したため、「アクリル板を一般廃棄物として違法に廃棄する人・会社が増えたのか?」と考えていましたが、このご時世ですから、「不用物だ~即廃棄!」という大量消費社会の権化のようにふるまう人は意外と少ないようです。

2023年5月22日付 南日本新聞 「アクリル板どこいった? 産廃業者は「処分依頼増えていない」 飲食店は「とりあえず…」

 新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが季節性インフルエンザと同じ5類に引き下げられ、鹿児島県内の事業者は飛沫(ひまつ)感染対策に使われてきたアクリル板の利用法や処分に頭を悩ませている。感染拡大による“再登板”に備えて処分を保留している事業者が多いようだ。加工して再利用するケースもある。

(中略)

 市内の産業廃棄物処理業者は「回収や処分の依頼が増えたという印象はまだない」と話す。別の業者も処分依頼はないとし「保管しているか、設置を続けているところが多いのでは」と推測する。

鹿児島県のみならず、全国的にも同じような状況なのではないでしょうか。

南日本新聞では、鹿児島市にある城山ホテル鹿児島(←個人的に3回泊まったことがあるお奨めのホテルです)の再利用事例が取り上げられています。

一部を加工し、開業60周年記念で従業員が着用するオリジナルバッジに仕立てた。
(中略)
地元のかごしま環境未来館にも提供。同館は賛助会員を紹介するプレートを作製し、3月末に展示スペースに設置した。

アクリル板の加工、特にカットは専用の設備が無いと難しいようですが、

バッジ、プレートともに加工を手がけたのは、看板製作などのブンカ巧芸社(同市)だ。コロナ下はアクリル板を販売していた。今後は看板のほか、飲食店のテーブル番号を記載するプレートなどに加工できるとして、リサイクル需要に対応していく。

と、加工技術と設備の両方を有する企業に加工委託したとのことです。

日本語(?)としては「リサイクル」で意味が通じますが、廃棄物処理法の世界では、あくまでも「加工委託」でないとつじつまが合わなくなりますので、細部にこだわってみました(笑)。

加工委託、あるいはリサイクル委託の場合、コストが必ず掛かることとなるため、無償、または低廉な価格で売却可能な方法はないものかと考えてみました。

薄く、傷が少ないアクリル板であれば、プラモデルその他のディスプレイケースの材料として再利用可能ですので、譲渡希望者を募ることができそうです。

この場合、無償でいくらでも譲渡となると、不必要な物まで持ち帰り、「無料で手に入れたものだから、捨てても惜しくない」と不法投棄をされる可能性もありますので、「譲渡量を制限」、「無償ではなく、材料としての市場価格と同等か、それよりも少し安い金額で売却」する等の工夫をした方が良いかもしれません。

傷がついた物や、ケースの材料とするには分厚い物の場合は、文字どおりの「リサイクル」するしかなさそうです。

リサイクルの場合、リサイクラーが買取りをしてくれず、リサイクラーにリサイクル料金等を支払うのであれば、そのリサイクラーには産業廃棄物処理業の許可が必要となることにご注意ください。

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