最終かつ究極の解決方法

1997年に大阪府北部の豊能(とよの)・能勢(のせ)両町で発生した高濃度のダイオキシン類を含む焼却灰の後始末が、ようやく進むことになりそうです。

2024年3月4日付 NHK 「ダイオキシン廃棄物問題 豊能町に最終処分場つくり埋め立てへ

大阪・豊能町と能勢町で作る組合が管理するダイオキシンを含む廃棄物の処分をめぐる問題で、大阪・豊能町は町内に最終処分場をつくり廃棄物を埋め立てて処分する方針を固め今月(3月)から現地でボーリング調査を行うことを明らかにしました。

「豊能町内に焼却灰を埋めるためだけに管理型最終処分場を設置するのですか?そうなるとコストパフォーマンスが悪すぎるけど、町民の理解が得られるのだろうか?」と、部外者ながら勝手に心をざわめかしましたが、NHKの報道を読み進めると、

豊能町の上浦登 町長は4日の町議会で、仮置きしている場所近くにある老朽化した公共施設の再編工事にあわせて、地下に最終処分場もつくり埋め立てて処分する方針を明らかにしました。
組合によりますと、最終処分場は地下5メートルの深さにコンクリート製の構造物をつくりそのなかに廃棄物を入れて処理する計画で、来年3月までに完成させたいとしています。

とありますので、どうやら「遮断型最終処分場」を設置し、そこで焼却灰を永久に保管するという計画のようです。

過去の報道を検索すると、2021年1月25日付朝日新聞「最終処分場に地元反対 決着遠く 豊能ダイオキシン問題」で、

19年の豊能町長選で初当選し、現在は組合管理者を務める塩川恒敏氏は鉄筋コンクリートで仕切った遮断型最終処分場を造って処分する方針を示してきた。20年度組合予算にはボーリング調査費など計約2500万円を計上した。

と、2021年時点から遮断型処分場設置の構想が明らかにされていました。

遮断型最終処分場であれば、雨水が処分場内に浸透することはありませんので、廃棄物の管理手段としては最高の安全性能を期待できます。

その代わりに、焼却灰からダイオキシン類が消えたり、焼却灰自体が雲散霧消したりすることは有り得ませんので、文字どおり永久に保管(封じ込め)し続ける必要があります。

「遮断型最終処分場」は、廃棄物処理法における専門用語ですので、具体的なイメージが湧きにくい方は、
国立環境研究所資源循環・廃棄物研究センターが公開している「循環・廃棄物の豆知識」の「遮断型最終処分場」を読んでみてください。

簡潔、かつ平易に要点を解説してくれていますので、遮断型最終処分場の概要がわかると思います。

さて、これから設置される予定の遮断型最終処分場は、まさに前世紀の負の遺産である「コンクリート固化された焼却灰」を封印し続ける場所となりますので、数十年後には「文化遺産」になっている可能性もあります。

上述したとおり、遮断型最終処分場はこれから永久にも等しい長期間の管理が必要となりますので、管理型最終処分場ほどではないにしても、それなりの管理コストが掛かります。

そこで、「記念館」や「記録センター」としても整備をし、見学者から入場料を徴収しつつ、遮断型最終処分場を教育や啓発の場としても活用してはどうでしょうか?

過去に起きた出来事を無かったことにはできませんが、現実を直視した上で、苦難から学んだ教訓を後世の人に伝えることには大きな意義があります。

「未来に向けてどのような記録や教訓が残せるか?」という視点に立つと、豊能町及び豊能町民の遮断型最終処分場を設置するという決断(もちろん、町民の総意というわけではないと思いますが)には、歴史的な偉業となる可能性を感じました。

遮断型最終処分場を「負の遺産」あるいは「負債」ではなく、何らかの「資産」として活用していただくことを期待しております。

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