政府、食品廃棄物の抑制のために罰則を導入か?

日本経済新聞の3月10日付朝刊に、「食品廃棄に抑制目標」という記事が掲載されました。

NIKKEI NET 食品廃棄削減、外食産業などに数値目標 政府が10年度にも

記事(上掲の「NIKKEI NET」では触れられていません)では、「2006年度に発生した食品廃棄物の量は1,100万トン、そのうち半分強が何らかの形で再生利用されている」と解説されています。

確かに、統計的に再生利用率を均すとそのとおりなのですが、実態はもう少し複雑です。
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上の表は、農林水産省が発表している、平成18年度の「食品廃棄物の発生及び処理状況」から抜粋したものです。
表の左側に付記している数値は、当方が追記した、「平成24年度までに各事業者が達成することを求められている再利用の目標値」です。

この表を見ていただくと、食品廃棄物の再生利用実態は、大半が「飼料化」と「肥料化」のみであり、その2つの処理だけで再生利用の大半(46%)を占めています。

ただ、ゴミをバンバン出して、それを必死に再生利用するよりは、ゴミそのものを削減する方が環境にも良いことは自明です。

そのため、今まであまり手を加えてこなかった「発生抑制」に、農林水産省は本気で乗り出すことを決めたようです。

しかしながら、個人的に少し気になる点としては、「発生抑制目標と大幅にかい離した企業」に対して罰金を科すことも検討しているとのこと。

もちろん、「目標未達」即罰金というわけではなく、
「目標未達」→「是正勧告」→「勧告無視」→「罰金」という流れを経た上での話となるはずですが

いずれにせよ、発生抑制をしない企業に罰金を科すことには違いがありません。

ここで思い出してほしいのが、一昨年の製紙業界の「リサイクル率の偽装」

最初から不可能な基準を課し、それを満たせない会社には罰金!と脅すだけでは、再び数値偽装の嵐を招くだけでしょう。

罰金で脅すのではなく、「発生抑制に成功した企業事例」を国が率先して宣伝してあげるだけで、健全な企業努力が生まれるように思うのですが・・・

形にこだわるあまりに、「廃棄物の発生抑制」という本来の目標を見失わないようにしていただきたいものです。

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