ちぐはぐな行政処分

東京都が一般廃棄物を無許可で回収している疑いのある事業者に30日間の事業停止処分を行いました。

2017年2月2日付 東京都発表 「産業廃棄物処理業者に対する行政処分について

次の産業廃棄物処理業者に、首都圏リサイクルセンターの屋号を用いた不用品回収などと称する事業について、廃棄物処理法第18条第1項に基づく報告を求めましたが、報告を拒否しました。
このことは、同法第30条第6号に該当する違反行為であるため、事業の全部停止を命ずる行政処分を行いました。

名称
(略)
住所
(略)
処分内容
産業廃棄物収集運搬業(許可番号:第13-00-176346号)の事業の全部停止30日間
事業停止期間
平成29年3月1日から同年3月30日まで

「首都圏リサイクルセンター」で検索してみると、一般家庭から、一般廃棄物を堂々と(?)高値で回収していたようです。

このような不用品回収業者の手口として、許可業者であるかのように装うために、「産業廃棄物収集運搬業許可」をチラシやHPに掲載することがよくあります。

言うまでもなく、産業廃棄物処理業と一般廃棄物処理業の許可はまったく別物となりますので、産業廃棄物収集運搬業の許可で一般家庭から不要品を回収すると違法になります。

例えて言うならば、一般廃棄物と産業廃棄物の業許可の違いは、「野球」と「ソフトボール」どころではなく、「野球」と「サッカー」くらいのまったく別物の事業となるのです。

ただし、東京都の処分は一般廃棄物の無許可営業に対するものではなく、報告徴収の拒否に対するものとなっています。

無許可営業と断定するためには、報告徴収その他で一般廃棄物を無許可で回収していた証拠を集める必要がありますが、それが叶わなかったので、報告義務違反へのペナルティをかけたということでしょうか。

そのこと自体は良いのですが、命令をした日から事業停止の開始日までなぜか約1ヶ月間の猶予があります。

処分日(命令をした日)と、事業停止開始日を一致させる必要まではありませんが、今回の東京都の処分のように、約1ヶ月も期間を空けるというのは非常にまれです。

東京都自体には一般廃棄物処理業の許可権限が無いため、1ヶ月の間に、事業者が営業をしていたエリアの市区町村に処分の働きかけをするということなのでしょうか?

詳しい事情はよくわかりませんが、連日ご紹介してきた埼玉県の不始末案件と同様に、いささか不適切な行政対応に思えます。

報告義務違反で行政処分をするならば、東京都単独で行政処分が可能であり、事業停止期間まで1ヶ月も猶予を与える理由がありません。

このような命令ですと、2月中は少なくとも産業廃棄物収集運搬業の営業はできるということになります。

「処分日の翌日から事業停止にせよ」とは申しませんが、報告義務違反だけで刑事罰の対象となる重大な法律違反ですので、もう少し厳正な対応が必要だったと思います。

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