下取回収を収集運搬業の許可を持たない事業者に委託できるか(大阪府のFAQより)

少し反論がありますが、先に大阪府のFAQをご紹介。
大阪府FAQ 排出事業者は誰か?(FAQ) より

Q3 販売事業者はユーザーから下取りした使用済み製品の運搬を他社に委託することができるか?

A3
 下取りした販売事業者が自ら運搬する場合は、自家運搬となって収集運搬業の許可は不要ですが、他社(運送会社)に運搬を委託するときは、その他社(運送会社)は産業廃棄物収集運搬業の許可が必要であり、廃棄物処理法の委託基準が適用されます。
 この場合、マニフェストの記載にあたっては、「排出事業場」はユーザーの名称・所在地とし、「運搬先の事業場」は販売事業者の倉庫等又は販売事業者が委託した処分業者の施設となります。また、販売事業者とユーザーがあらかじめ定めるところにより、マニフェストの交付事務をユーザーに代行してもらうことができます。

前段の
『下取りした販売事業者が自ら運搬する場合は、自家運搬となって収集運搬業の許可は不要ですが、他社(運送会社)に運搬を委託するときは、その他社(運送会社)は産業廃棄物収集運搬業の許可が必要であり、廃棄物処理法の委託基準が適用されます。』は、論理の整合性は取れていますが、

販売事業者が運搬の処理委託をした時点で、「旧商品の販売事業者自らによる回収」ではなくなるため、下取り回収ではなくなるように思います。

そのため、この疑義解釈自体が無意味なものになっています。

もっとも、下取回収の可否などは、廃棄物処理法で明文化されたものではなく、単なる通知で示された解釈基準ですので、「販売事業者自らによる回収と限定していないではないか」という批判もあろうかと思います。

私が、「販売事業者の自ら解釈でなければならない」と考える根拠は、

平成5年3月31日付衛産36号通知の

(下取り行為)
問10 いわゆる下取り行為を行う者には産業廃棄物収集運搬業又は特別管理産業廃棄物収集運搬業(以下「収集運搬業」という。)の許可は必要か。
答 新しい製品を販売する際に商慣習として同種の製品で使用済のものを無償で引取り、収集又は運搬する下取り行為については、収集運搬業の許可は不要である。

の全体を解釈して、「単なる運送業者は、下取回収の主体である販売事業者ではない」と考えるためです。

問10の主語は、「下取り行為を行う者」であり、「下取り回収を行う者」ではないですね。

大阪府のFAQの後段に戻りますが、
『マニフェストの記載にあたっては、「排出事業場」はユーザーの名称・所在地とし、「運搬先の事業場」は販売事業者の倉庫等又は販売事業者が委託した処分業者の施設となります。また、販売事業者とユーザーがあらかじめ定めるところにより、マニフェストの交付事務をユーザーに代行してもらうことができます。』

上述したように、販売事業者ではなく、運送業者が回収を担っている段階で、下取回収ではなく、通常の産業廃棄物運搬契約になるわけですが、
そうなると、「マニフェストの交付事務をユーザーに代行してもらうことができます」という説明が矛盾します。

マニフェストの交付事務は、ユーザー固有の責任であり、ユーザーが販売事業者の代わりに代行するものではないからです。

また、運搬先の事業場として、「販売事業者の倉庫」が例示されていますが、
販売事業者が積替え保管の許可を持っているなら問題ありませんが、その許可なしに他者の産業廃棄物を引き受けると違法になりますので、この説明も矛盾することになります。

ただし、このように過去の通知文書に忠実に解釈運用すると、現代社会ではほとんど使えない特例となってしまいます。

現代の日本では、販売事業者自らが製品の配達や設置をしているケースは非常に少ないのではないでしょうか。

〝商慣習”自体のあり方が日々刻々と変化していますので、通知の内容も現代に合わせて変更する必要がありそうです。

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