うじ虫を使った食品リサイクル技術をドイツのベンチャー企業が開発

面白い食品リサイクル技術のご紹介
ハエの幼虫の性質を利用したリサイクル【Green Waste Technologies】

うじ虫ではなく、「ハエの幼虫」と書くのは、読者への配慮なのでしょうか?(笑)

──どのような方法でリサイクルを行なうのですか。
 ブラックソルジャーというハエの幼虫に注目しました。このハエの成虫には口がありません。産卵のためだけに生まれて死んでいきます。ところが幼虫は、成虫になって産卵して死ぬまでに必要なエネルギーを溜め込むために膨大に食べるので、幼虫の体にはオイルとタンパク質がとても多く含まれています。しかも、この幼虫が消費した食物の重量の95%までをオイルに変換することが可能なのです。そこで、この幼虫のユニークな性質を使い、このハエの繁殖を管理することによって、残飯をリサイクルしてタンパク質やオイルを作る技術を開発しようと考えました。

食品リサイクルの肝となるのが、「ブラックソルジャー」というハエの幼虫ですが、成虫になると口がなくなるとは、リサイクルのために生まれてくれたハエですね。

食品残さをハエの幼虫に食べさせることによって、オイルやタンパク質に変換できるとのことですから、電力や燃料をほとんど使用せずに食品リサイクルができるようです。

「研究開発はまだ終わっていない」とのことですが、実用化できれば、大きな可能性を持つ技術になりそうです。

ただし、日本で同内容の事業をすぐに起こせるかとなると、それはかなり難しいと言わざるを得ません。

検疫の問題が最初の大きな課題となりますが、そこをクリアできた場合でも、
廃棄物処理業の許可が取れるかどうかという問題があります。

まぁ、ドイツのベンチャー企業であるため、日本での事業展開を考えておられるわけではありませんので、勝手にケーススタディをしているだけになりますが、
うじ虫を使ったリサイクルの場合、下記の2つの理由で、廃棄物処理業の許可取得は非常に困難だと考えられます。

理由1
・うじ虫では、廃棄物処理の能力を確定できないし、そもそも機械にも該当しないため、中間処理業の許可対象とならない。
 「施設の能力」に、「うじ虫1万匹」と書いたところで、常に一万匹のうじ虫を維持し続けることは不可能でもあります。

理由2
・生活環境の保全のために、廃棄物の保管場所に「害虫が発生しないこと」という基準がありますが、害虫そのものを発生させ、増やす事業であるため、そもそも廃棄物処理法の趣旨にそぐわない。

からです。

ただし、オイルやタンパク質を効率的に変換できるようですから、廃棄物処理ではなく、「食品残さの買取」も可能になるかもしれません。

そうなると、廃棄物処理法の規制を免れることが可能となりますが、
どうやって成虫のハエを外部へ流出させないようにするのか、という非常に重要な工夫が不可欠となりますね。

廃棄物処理法の趣旨からすると実現困難な事業と言わざるを得ませんが、技術そのものは有望なものだと思います。

菌や藻を活用したリサイクル技術の研究が日々進んでいますので、昆虫を用いたリサイクル技術の方が逆に目新しく感じられますが、汎用性の高い研究であると思いますので、是非実用化していただきたいものです。

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