行政処分には時効がない

毎日新聞 沼津の産廃不法投棄:「すべて撤去を」 県、業者に措置命令 /静岡
 より記事を転載します。

 沼津市の愛鷹山のふもとに産業廃棄物を不法投棄したとして、県廃棄物リサイクル課は16日、沼津市のスルガ産業(08年倒産)の庄司スエ子元社長と元従業員3人の計4人に対し、廃棄物処理法に基づき、不法投棄したすべての廃棄物を撤去するよう措置命令を出した。

 同課によると、庄司元社長は、2000年1月ごろから04年11月ごろまでの間、愛鷹山のふもとに廃プラスチックなどの産業廃棄物を不法に埋めた。廃棄物は約23万立方メートルに上るとみられ、県内の不法投棄事件の中で最大という。同課は4人に対し、10月17日までに撤去の計画書を県へ提出し、16年11月までにすべて撤去するよう命令している。

 庄司元社長は、この不法投棄に絡み06年1月、東京高裁で、廃棄物処理法違反の罪で懲役2年6月、罰金350万円の実刑判決が確定している。

10年前に実行された不法投棄に関し、行為者に措置命令が発出されました。

タイトルのとおり、行政処分には時効がありませんので、10年前の行為に対しても発出することは可能です。

ただし、現実問題としては、不法投棄実行者が廃棄物の完全撤去をするための資力を有しているとは思えませんので、
おそらく静岡県が行政代執行をせざるを得なくなるはずです。

措置命令は、廃棄物処理法第19条の6で規定されていますが、
「生活環境保全上支障が生じ、又は生ずるおそれがある」時に発出されるものですので、出しっぱなしで済ますわけにはいかないからです。

静岡県としては、不法投棄実行者の他に、その実行者に産業廃棄物処理を委託した排出事業者にも措置命令を出すことができますが、
そこまでするのか、あるいはできるのか・・・

排出事業者に対して措置命令を出すためには、排出事業者の委託状況を把握する必要がありますが、
マニフェストや委託契約書の保存期間の5年を過ぎたものに関しては、それとは別の方法で証拠収集をしなければなりません。

事件発生後7年を経過した現在からその調査を始めようと思っても、ほとんど無理と言えるでしょう。

ということは、静岡県としては、最初から排出事業者ではなく、実行者のみをターゲットにしているのかもしれません。

もちろん、その方が本筋に違いありませんが、不法投棄実行者が撤去できず行政代執行に至った場合、巨額の税金が費やされることに留意する必要があります。

投棄された廃棄物量からすると、全量を撤去する場合には、数百万円単位では足らず、最低でも数千万円の経費がかかるはずです。

新聞報道を見る限り、静岡県の対応はすべて後手、というよりは明らかに遅すぎる対応ばかりです。

非常に残念なケースとなりました。

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