会計監査人は役員その他の政令使用人ではない
顧問先処理企業からの質問で、
「某自治体から、許可更新の際に会計監査人の住民票の写しなどの提出が求められた。会計監査人は役員または政令で定める使用人ではないため、提出不要と考えるがいかがか?」
というものがありました。
会計監査人を設置した場合、法人登記簿に会計監査人として監査人の氏名などが記載されるため、
役員または政令使用人と同視する自治体担当者がたまにいるようです。
顧問先企業が調べたところによると、
会社法制定当時に、全国産業廃棄物連合会が環境省にこの件を照会した結果、
「会計監査人は役員または政令使用人に該当しない」
という回答があったそうです。
ただし、当時の環境省は
「文書で自治体に通知することはしない」とも回答していたようです。
環境省が「通知する必要もないほど自明の常識」と考えたのか、
「自治体から間違いを指摘されるのが怖い」と考えたのかはわかりませんが、
やはり通知していただきたかったと思います。
会計監査人の法的な権限を明確にしておくと、
会社法では次のように定められています。
第九節 会計監査人
(会計監査人の権限等)
第三百九十六条 会計監査人は、次章の定めるところにより、株式会社の計算書類及びその附属明細書、臨時計算書類並びに連結計算書類を監査する。この場合において、会計監査人は、法務省令で定めるところにより、会計監査報告を作成しなければならない。
2 (略)
つまり
会計監査人の権限は、「計算書類等の監査」と「会計監査報告の作成」のみですので、
会社の業務執行権限はありません。
そのため、裏で黒幕として会社の業務を支配したりしていない限り、
許可申請書に住民票の写しを提出する必要もありませんし、
欠格要件の対象者にもならない
ということになります。
« 中間処理業者が残さ物の運搬を行う際の収集運搬業許可の要否 岐阜市、土地所有者に数億円の納付命令発出 »
タグ
2011年9月5日 | コメント/トラックバック(0) | トラックバックURL |
カテゴリー:基礎知識