廃棄物処理制度専門委員会(第1回)を傍聴してきました

2016年5月19日に東京で開催された、中央環境審議会循環型社会部会廃棄物処理制度専門委員会(以下、「専門委」)(第1回)を傍聴してきました。

最近はペーパーレス化推進のためと称し、「前日の夜までに資料をアップロードするので、それを持参するかタブレットその他で見なさい」と環境省は言うのですが、
前日から東京のホテルに待機している人間には、資料を印刷する手立てがありません。

しかし、少部数ながらも当日資料を配布していることを、2月の循環型社会部会傍聴の際に知ったので、今回はそれを当て込んで手ぶらで会場に赴きました。

早めに到着したことが功を奏し、無事資料を入手できましたが、支え無しに定規を立てられるくらいの厚さで、約1.5センチメートルというところでしょうか。

resume

ただし、資料の大部分(およそ99.9%)は私にとって不要な物でした。

資料は、中央環境審議会循環型社会部会廃棄物処理制度専門委員会(第1回)の開催についてにすべて掲載されていますが、

私にとって見るべき価値のある資料は、「資料3-2 廃棄物処理法施行状況調査の主要な結果について」だけでした。

その資料のどこに着目したかは、後日詳細を書きたいと思います。

今回は、専門委の開催趣旨や、委員から出された主な意見を速報としてご紹介します。

そもそもなぜ開催されたのか

2009年の専門委では、廃棄物処理法の問題点について頻繁に議論が行われ、その後の2010年改正に反映されました。

前回の法改正から5年を経たことを受け、今回の専門委も、法改正を視野に入れて検討を行うそうです。

しかしながら、第1回目の議題は、議事次第

(1)廃棄物処理法の施行状況等について
(2)その他

書かれてあるとおり、現在の廃棄物処理法施行状況の概説のみとなっていました。

議事の概要

開始早々70分近く連続で、環境省の2人の課長が淡々と資料説明を行いましたので、自分にとって既知の情報ばかりということもあり、睡魔と闘うのが大変でした。

いえ、正直に告白すると、最初から睡魔と闘うことを放棄して、力を温存するためにも睡眠学習の場とさせていただきました。

傍聴者のみならず、事務局側の方も数名睡眠学習を実施されていましたので、その場にいた人の間では、夢という潜在意識レベルで廃棄物処理法施行状況の共有が進んだことは言うまでもありません。

今回の専門委のメンバーは、「資料1 中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会廃棄物処理制度専門委員会 委員名簿」に掲載されていますが、「佐々木委員」「島村委員」「高岡委員」「田崎委員」は欠席で、計11人の委員が出席していました。

「施行状況」に対する質問は多数出ていましたが、独断と偏見で気になった発言要旨のみを挙げます。

なお、委員の方は全員早口だったため、当方のメモ書きが追い付かなかった場面も多々あり、発言内容の正確性は担保できませんので、個別の発言者は明示せず、委員A・B等と記しておきます。
後日環境省から、正確な議事録が公表される予定ですので、そちらもご参照ください。

(委員A)
・電子マニフェストのデータは、各自治体において監視指導に活用されているのか?

(委員B)
・産業廃棄物の流入規制を11自治体がまだ行っており、廃止する予定もないとのことだが、環境省からその11自治体に対し、廃棄物処理法では定められていない流入規制を見直すように引き続き働きかけをしてもらいたい。
・ダイコー事件は極めて特殊なケースであり、他の善良な処理業者に大きな負荷がかかるような制度改変は避けていただきたい。

(委員C)
・適正処理推進のためには、「廃棄物該当性」がキーワードと思う。
・一般廃棄物と産業廃棄物の区分を考え直す必要がある。具体的には、産業廃棄物処理業者の処理施設で、一般廃棄物の業許可なしに一般廃棄物の処理をできるようにすべきだ。

(委員D)
・流入規制を行っている自治体の名称を教えてほしい。
・中間処理許可の対象に「選別」を認めていない自治体が多いが、環境省としてはそれをどう考えるか?

(委員E)
・不適正処理は排出事業者等のコストとしてどのように認識しているかが根本にあると思う。

(委員F)
・優良認定業者を増やすためには、認定を受けるメリットが重要となる。
・優良業者に委託をした排出事業者については、(不適正処理があったとしても)刑事責任を免責するようにすれば良い。
・優良認定を取消すタイミングは、許可の更新申請時しかないというのも問題だ。

(委員G)
・自治体においては、マニフェストの情報は不適正処理を是正させる際に活用している。
・総合判断説を適用して判断をしているが、実際には「有償売却できるか否か」を重視している。
・しかし、(廃棄物ではないが)建設残土のように、有償売却はできないが、取引市場が形成されている物もあり、リサイクル推進のためには規制緩和をした方が良いケースも多い。当専門委でじっくりと議論して欲しい。

今後の検討方針

環境省の説明では、「2016年中に専門委の報告書を取りまとめたい」とのことでした。

そのため、場合によっては、月2回程度専門委を開催する可能性もあるとのことでした。

直近の予定としては、「資料4 本専門委員会の今後の進め方(案) 」に書かれているとおり、
6月中旬と6月下旬にそれぞれ1回ずつ、「関係者からヒアリング」を行うとのことです。

また、一番重要な情報かもしれませんが、今後の検討テーマとして

(1)適正処理の更なる推進
 昨今の廃棄物処理を巡る状況を踏まえ、適正処理の確保、廃棄物処理における有害物質管理及び、市況により廃棄物該当性が変動するものの管理等について検討が必要。
・排出事業者責任の在り方及び廃棄物処理業者による適正処理を確保するための制度的対応の検討(「ダイコー事案」再発防止策を含む。)
・廃棄物処理における有害物質管理の強化策の検討
・市況により廃棄物該当性が変動するものや、有害性の高い物品に、管理のための一定の基準を適用できるようにする制度(違法な不用品回収業者対策を含む。)の検討
・電子マニフェストの更なる普及措置の検討

(2)廃棄物処理法に基づく各種規制措置の見直し及び優良な処理事業者の更なる育成に係る措置
 各種規制措置の見直しの検討や、優良な廃棄物処理業者がより競争力を向上させていくための取組等を推進していくことが必要。
・規制の合理化の観点から見直すべき措置の検討
・優良な事業者の更なる育成の観点から取り組むべき措置の検討

(3)廃棄物の排出抑制等及び廃棄物処理分野における温暖化対策の強化
 排出抑制、リサイクル等を推進するとともに、廃棄物処理分野の温暖化対策の一層の強化が必要。
・廃棄物の排出抑制、リサイクル等のための追加的方策の検討。
・廃棄物分野において、地球温暖化対策として考えられる取組及び制度的対応の検討。(※廃棄物処理法の法目的の枠内でどこまで行うことができるのかは留意が必要)

(4)廃棄物等の越境移動の適正化に向けた対応
廃棄物等の越境移動を適正化するためには、それぞれの廃棄物等の性状に応じて、潜在汚染性の顕在化を最小にしつつ、潜在資源性の顕在化を最大にするような管理の方法を模索していくことが必要。
・国内外で発生した二次資源(使用済鉛蓄電池、電子部品スクラップ等)について、我が国の誇る環境技術の先進性を活かしつつ、非鉄金属のリサイクル等資源循環を着実に進めるための輸出入規制の在り方の検討。
(※バーゼル法との関係について留意が必要)

が挙げられています。

次に法律改正が行われる内容としては、上記の4テーマに絞れそうです。

もちろん、今後の検討によって変わる可能性もありますが、このまま行くと、
「排出事業者責任の強化」「優良な処理業者の更なる育成」が主流になりそうです。

昨日の専門委では、上記のテーマはほとんど話題になりませんでしたが、興味深い内容が多々含まれていますので、引き続き専門委での検討状況を注視したいと思います。

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