許可取消は処理困難通知の対象か否か(その1)

二つ前の記事 「権威を疑う」の続きとなります。

もっと早くに、それもパブリックコメントの段階で指摘をするべきだったかもしれませんが、報告書案には他に色々と腹立たしいポイントがたくさんあったため、失念しておりました。

言うのが遅すぎたかもしれませんが、「過ちては改むるに憚ること勿れ」ですので、関係者の方はどうぞご遠慮なく修正なさってください(笑)。

本題に入ります。

2016年6月30日に開催された「第3回廃棄物処理制度専門委員会」での、愛知県からの意見がすべての発端です。
その時の傍聴記を読み返すと、問題点に少しだけ触れておりましたが、それ以降この問題の深掘りをしていませんでした。

愛知県は
「取消し処分を行うと、処理業者に対して発出した改善命令が無効となるとともに、処理業者が通知する「処理困難通知」が発出できなくなる。」
という意見を出していました。

それが、廃棄物処理制度専門委員会報告書(案)では、

許可を取り消された処理業者には、通知の義務が課されていない。

と、ほぼ同様の意味の表現が使われています。

これは果たして事実なのか?という問題提起です。

最初にお断りしておきますが、ここから先は法律の条文番号が数多く登場しますので、「あれがああなって、次にこれがこうなって」と想像しているうちに、最初の目的や前提条件がわからなくなること必定です(笑)。

思考を進めやすくするために、「愛知県が理想的な行政だった場合」を想定し、「措置命令違反でダイコーの許可を迅速に取消した」という前提で考えてみましょう。
※もちろん、実際の状況とは真逆ですが、愛知県が渋っていたのは、まさしく「措置命令」と「措置命令違反に基づく許可取消」だったことは、心ある人ならご理解いただけると思います。

さて、法第19条の5の措置命令違反は、法25条の罰則(5年以下の懲役もしくは1千万円以下の罰金または併科)の対象となります。

そして、法第19条の5の措置命令違反で許可を取消す場合は、法第14条の3の2第五号「前条(筆者注:「法第14条の3」)第一号に該当し情状が特に重いとき、又は同条の規定による処分に違反したとき。 」が適用されることになります。

ちなみに、環境省は、「行政処分の指針」で非常に良いことを言っています。

法第14条の3第1号(上記(1))に該当し情状が特に重いとき、又は同条の規定による処分(業務の全部又は一部の停止命令)に違反したとき(法第14条の3の2第1項第5号)
 「情状が特に重いとき」とは、不法投棄など重大な法違反を行った場合や違反行為を繰り返し行い是正が期待できない場合など、廃棄物の適正処理の確保という法の目的に照らし、業務停止命令等を経ずに直ちに許可を取り消すことが相当である場合をいい、違反行為の態様や回数、違反行為による影響、行為者の是正可能性等の諸事情から判断されるものであること。なお、法第25条から第27条までに掲げる違反行為を行った場合については、重大な法違反を行ったものとしてこれに該当すると解して差し支えないこと。

つまり、「不法投棄等に対しては、事業の停止処分等の回りくどい行政処分ではなく、スッパリと「許可取消」を行うのが妥当だ!」という趣旨ですね。

ダイコーのした行為は不法投棄ではありませんでしたが、先述したとおり、措置命令違反も法第25条違反となります。

ちなみに、改善命令違反は法第26条の罰則(3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金または併科)の対象となりますので、同様に許可取消の対象となるのは言うまでもありません。

では、本題の、そうして許可取消をされた場合が処理困難通知の対象となるか否かです。

しかしながら、ここまでの説明だけで、かなり頭がこんがらがってきた人が多いと思いますので、答えは次回に先送りします(笑)。

それまでに理解していただきたいポイントは、
「法第14条の3の2に基づく許可取消」があるのだなという1点のみです。

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