「水銀使用製品産業廃棄物」の詳細について

6月23日に新大阪で開催された、環境省主催の「廃棄物処理法施行令改正説明会(水銀関係)」を傍聴してきました。

先に東京で同内容の説明会が開催済みだったためか、環境省の担当技官の方の説明は、予想以上にメリハリが効いたわかりやすいものでした。

また、東京会場で質問が殺到した内容については、具体的な例を挙げて解説が行われていましたので、行政主催の説明会としては”異例の”誠実な印象を受けました。

今回は、その説明会で解説された、多くの方が実務的に抱くであろう疑問とそれへの回答をご紹介します。

「水銀使用製品産業廃棄物」

「水銀使用製品産業廃棄物」の対象については、「『水銀使用製品産業廃棄物』の詳細が確定」 で解説したところですが、対象となる製品を再掲します。

まず、上掲の37品目が、水銀使用製品産業廃棄物の対象となる「区分1」です。

次に、「区分1の製品を組み込んで製造された製品」という「区分2」があります。

「区分2」の具体例として、環境省は、「水銀電池を組み込んだ補聴器」を挙げていました。

「水銀電池入りの補聴器」は、補聴器全体で「水銀使用製品産業廃棄物」として取扱うことになります。

ややこしいのは、上掲の表の下部で×印が付けられている製品です。
すなわち、廃棄物処理法施行規則第7条の2の4第二号の「『前項に掲げる水銀使用製品を材料又は部品として用いて製造される水銀使用製品』から除外されるもの」のことです。

この具体例としては、日常生活でよく見かける「蛍光ランプ(水銀使用のもの限定)」単体なら、それだけで「水銀使用製品産業廃棄物」になりますが、
「蛍光ランプが組み込まれた製品であるが、それが外部から判別できないもの」については、「水銀使用製品産業廃棄物から除外する」とのことです。

もう一つ例を挙げると、
「水銀を含有した顔料」が、顔料のまま廃棄される場合は、「水銀使用製品産業廃棄物」になりますが、
「『水銀を含有した顔料』を塗布した製品」については、外部からは水銀含有の有無を判別しがたいため、「水銀使用製品産業廃棄物から除外する」という整理になります。

最後に、「区分3」として、「水銀又はその化合物の使用に関する表示がされている製品」が対象になるとのことです。

この条件は表示を見ればわかるので、非常にわかりやすい基準です。

区分1から3のいずれかに該当する製品が、「水銀使用製品産業廃棄物」の対象になります。

「水銀使用製品産業廃棄物」の取扱い許可

改正施行令の施行は2017年10月1日からですので、本年10月の時点では、その品目の取扱い許可を所持した業者はほぼ無いと考えられます。

しかるに、10月の時点での委託基準としては、「取扱う廃棄物の種類に『水銀使用製品産業廃棄物』が含まれること」となりますので、「全事業者が委託基準違反になるではないか!」という大問題があります。

本来なら、施行令改正の附則に、経過措置として「改正以前にこれらの廃棄物を取扱っている場合は、許可の有効期間中は、これらの廃棄物の取扱い許可があるものとみなす」といった規定を置くべきかと思いますが、環境省作成の資料では、(そうした経過措置を置かずに)実質的にそのような取扱いにする、と明言されています。

現実的な問題として、「では、水銀使用製品産業廃棄物の具体的な産業廃棄物の種類は何に該当するのか?」という疑問が湧きますが、
それについては、「地方自治体ごとに解釈が変わるので、最寄りの地方自治体にご確認ください」と、環境省は回答していました。

常識的には、「蛍光ランプ」の場合なら、「金属くず」と「ガラスくず」との混合物ということになります。

業者の許可内容をどうやって確認するのか?

環境省としては、水銀使用製品産業廃棄物に対応した設備を持つ処理業者に対しては、地方自治体に「許可証の書換え(水銀使用製品産業廃棄物の追記)対応」を文書で依頼するそうですが、当然、すべての地方自治体がそのとおりに書換えをしてくれるわけではありません。

そのため、「許可証に水銀使用製品産業廃棄物の文字が入っていないけれども、それを扱える業者」がたくさん存在するということになります。

こうした事情から、実質的には、水銀使用製品産業廃棄物の取扱い許可の有無が許可証で公示されない状態が、最長で5年間続きます。

では、委託の際にはどうするのか?

環境省の答えは、
「排出事業者の責任において、確認をしてください」とのことでした。

つまり、業者に設備の有無や、水銀使用製品産業廃棄物の処理実績があるかどうか、
また、水銀使用製品産業廃棄物が該当するであろう許可品目(蛍光ランプの例なら、「金属くず」と「ガラスくず」)を所持しているかどうか、を排出事業者の責任で確かめるということです。

収集運搬の委託の場合は、現状の許可内容のまま、ほとんどの処理業者が問題なく運べそうですが、
中間処理の委託の場合は、委託先の処理業者の設備で水銀使用製品を安全に処理できるかどうかを、実地に確認した方が良いですね。

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