新型コロナウイルス関連の特例を定める環境省令

2020年5月15日付で、「新型コロナウイルス感染症に対処するための廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則の特例を定める省令」が公布されました。

上記の省令に関して環境省が発出した通知は下記です。
令和2年5月15日付 環循適発第2005152号、環循規発第2005151号「新型コロナウイルス感染症に対処するための廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則の特例を定める省令の施行について

今回は、この特例措置の内容について見ていきます。

(1) 年次報告等の期限の延長
次の報告等の提出期限は通常毎年度6月末までとされているが、令和2年度に行う報告等については令和2年10月末まで延長。
・多量排出事業者の廃棄物処理計画及び実績の年次報告
・産業廃棄物管理票(マニフェスト)の交付状況の年次報告
・再生利用、広域的な処理及び無害化処理に係る大臣認定を受けた者が行う処理の実績報告

※解説
所得税の確定申告期限は3月15日ですが、今年は新型コロナウイルスの影響でそれが大幅に伸びたので、個人的には大変助かりました(笑)。

廃棄物処理法関連の報告手続きについては、上記の3つが報告期限が「6月末」から「10月末」まで延長されています。

関係する人がもっとも多い手続きは、「産業廃棄物管理票交付実績報告」だと思います。

ただし、いずれの書類も、報告すべきデータや書類は既に手元に揃っている状態が普通だと思いますので、過ぎ去った日々のデータについては、さっさと集計を進めて、できるだけ早期のうちに報告をしておきたいところです。

(2) 廃棄物処理業に係る許可の変更の届出等に関する特例
・一般廃棄物及び産業廃棄物処理業の許可並びに再生利用、広域的な処理及び無害化処理に係る大臣認定を受けた事項に変更があったとき等に必要な変更届の提出期限を延長(原則10日以内→30日以内)。

※解説
一般廃棄物処理業または産業廃棄物処理業に関する変更届等の提出期限が「10日以内」から「30日以内」に延長されました。

変更届の具体例としては、産業廃棄物収集運搬業を例とすると、
「運搬車両の増減に関する変更届」
「法人役員の異動に伴う変更届」
「法人の商号変更や本店移転」等がありますね。

こちらも30日以内に延長されたとはいえ、手続き自体は簡単ですし、地方自治体に郵送で提出することが可能ですので、忘れないうちに変更後すぐに提出しておきたいところです。

(3) 廃棄物処理施設に係る定期検査の期間に関する特例
・一般廃棄物及び産業廃棄物処理施設の定期検査ができなかった場合には、当該施設が設置されている都道府県の緊急事態解除宣言の日から起算して4月以内に行えばよいこととする。

※解説
こちらは、定期検査の対象となる一般廃棄物処理施設または産業廃棄物処理施設を設置している事業者のみに関係する特例です。

定期検査を受けられなかった事業者については、緊急事態宣言解除の日から4カ月以内に定期検査を受ければ、法律違反とはしないという趣旨です。

ただし、あくまでも自治体側の都合により定期検査が受けられなかったケースが特例の対象と思われます。

(4) マニフェストに関する特例
・運搬受託者及び処分受託者が廃棄物の処理をした際にマニフェスト交付者へのその写しの送付期限を延長(原則10日以内→30日以内)
・電子マニフェストについてもマニフェストと同様に登録の期限を延長(休日を除く3日以内→30日以内)
・マニフェスト交付者が、その写しの送付を受けないことにより産業廃棄物の処理の状況の把握等をすべき義務を負うまでの期限を延長(運搬受託者若しくは処分受託者からの写し 90日→120日、最終処分終了の写し180日→240日)
・電子マニフェストについては、情報処理センターが運搬受託者又は処分受託者からの報告を受けるまでの期間を延長。(収集運搬・処分 90日→120日、最終処分 180日→240日)

※解説
まず、紙マニフェストの返送期限が、処理終了日から「10日以内」が「30日以内」に延長されました。
電子マニフェストの登録期限についても、処理終了日から「3日以内」が「30日以内」に延長されています。

次に、処理業者から処理終了報告が一定期間の間に返ってこない時、排出事業者は自治体に「措置内容報告書」を提出しなければなりませんが、
その措置内容報告書提出義務が発生する期間が、従来よりも大幅に延長されました。

たとえば「収集運搬の終了報告」の場合、従来は産業廃棄物管理票交付日から「90日以内」でしたが、今回の特例ではそれが「120日以内」に延長されました。

排出事業者が、処理業者からの報告あるいは登録を待つことができる期間が延びたということです。

ただし、
『特別管理産業廃棄物の中間処分については、期限は通常どおり60日のままである。』
と上記の環境省通知にあるとおり、特別管理産業廃棄物の中間処理委託先については、従来どおりの待ち時間となります。
※余談
行政文書としては、中間「処分」ではなく、中間「処理」の方が正確かと思います。

(5) 産業廃棄物の保管の届出に関する特例
・排出事業者が自ら排出する産業廃棄物を事業場外において保管するときは通常は事前に届出が必要だが、新型インフルエンザ等(新型コロナウイルス感染症を含む。)による処理施設の運転の停止その他の新型インフルエンザ等に起因するやむを得ない理由により行う場合には事後届出でよいこととする。

※解説
「排出事業者が自ら排出する産業廃棄物」とは、廃棄物処理法第12条第3項及び第12条の2第3項で規定する「建設廃棄物」に限定されます。

建設関連事業者以外には適用されない内容ですので、誤解のないようにお願いします。

施行期日等
 令和2年5月15日
 なお、(1)以外の規定については緊急事態宣言がされた日(令和2年4月7日)に遡って適用する。

※解説
緊急事態ゆえ、公布と同時に施行されています。

上記の(2)から(5)の特例については、施行日よりもさらにさかのぼり、令和2年4月7日から施行となる遡及規定が置かれています。

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