「新型コロナウイルス関連の特例を定める環境省令」の補足

一つ前の記事「新型コロナウイルス関連の特例を定める環境省令」に関する補足をしておきます。

この環境省令は、新型コロナウイルス対策ですので、「緊急事態宣言」と密接な関係を有しています。

違う言い方をすると、緊急事態宣言が全国で解除された現在においては、特例の内容が「適用されるもの」と「適用されないもの」の両方が存在するようになりました。

そのため、今回は、「緊急事態宣言」を中心とした時系列に沿って、改めて特例の詳細を見ていきます。

今回は、通知ではなく、環境省令そのものを引用していきます。
新型コロナウイルス感染症に対処するための廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則の特例を定める省令

(1) 年次報告等の期限の延長
次の報告等の提出期限は通常毎年度6月末までとされているが、令和2年度に行う報告等については令和2年10月末まで延長。
・多量排出事業者の廃棄物処理計画及び実績の年次報告
・産業廃棄物管理票(マニフェスト)の交付状況の年次報告
・再生利用、広域的な処理及び無害化処理に係る大臣認定を受けた者が行う処理の実績報告

※解説
これらの書類については、令和2年度に提出すべき書類だけが特例として「2020年10月31日まで」が提出期限となります。

令和3年度以降については、例年どおり、「その年の6月30日まで」が提出期限となります。

もっとも、2021年以降も新型コロナウイルスが猛威を振るっているような場合、再び緊急事態宣言が発令され、新たな特例措置が公表されるかもしれませんが・・・

上記の環境省令(以下、「環境省令」)の該当部分は、「第5条第2項」「第7条」「第9条」

(2) 廃棄物処理業に係る許可の変更の届出等に関する特例
・一般廃棄物及び産業廃棄物処理業の許可並びに再生利用、広域的な処理及び無害化処理に係る大臣認定を受けた事項に変更があったとき等に必要な変更届の提出期限を延長(原則10日以内→30日以内)。

※解説
これらの変更届は、「2020年3月28日」から「2020年5月25日」までの間に行った変更が対象となります。

「5月25日」は、緊急事態宣言が全国的に解除された日ということはすぐわかりますが、
「3月28日」は、「なんとも中途半端な日だな~」と思われなかったでしょうか?

「3月28日」とは、緊急事態宣言が出された「4月7日」の「10日前」の日です。

すなわち、4月7日に緊急事態宣言が出されたため、その日までに提出すべきだった変更届の提出期限が特例で「30日以内」に延びました。

そのため、たとえば、3月28日に運搬車両を増車した場合、本来なら「4月7日」までに変更届を出す必要があったところ、特例省令の対象となるため「4月27日」までに提出すれば良いことになります。

しかし、「5月26日」に変更した事項については、「5月25日」の緊急事態宣言解除後の変更のため、従来どおり、「10日以内」の「6月5日」までに提出しなければなりません。

ただし、「役員変更」や「本店移転」「商号変更」等のように、法人の登記事項証明書を添付しなければならない変更事項の場合は、2017年度の廃棄物処理法施行規則改正により、今回の特例が公布される以前から、変更後「30日以内」に届出をすることになっています。

(3) 廃棄物処理施設に係る定期検査の期間に関する特例
・一般廃棄物及び産業廃棄物処理施設の定期検査ができなかった場合には、当該施設が設置されている都道府県の緊急事態解除宣言の日から起算して4月以内に行えばよいこととする。

※解説
起算点は全国的に「4月7日」ですが、
各都道府県ごとに緊急事態宣言が解除された日が異なりますので、「各都道府県ごとに緊急事態宣言が解除された日から4カ月以内」となります。

(4) マニフェストに関する特例
・運搬受託者及び処分受託者が廃棄物の処理をした際にマニフェスト交付者へのその写しの送付期限を延長(原則10日以内→30日以内)
・電子マニフェストについてもマニフェストと同様に登録の期限を延長(休日を除く3日以内→30日以内)
・マニフェスト交付者が、その写しの送付を受けないことにより産業廃棄物の処理の状況の把握等をすべき義務を負うまでの期限を延長(運搬受託者若しくは処分受託者からの写し 90日→120日、最終処分終了の写し180日→240日)
・電子マニフェストについては、情報処理センターが運搬受託者又は処分受託者からの報告を受けるまでの期間を延長。(収集運搬・処分 90日→120日、最終処分 180日→240日)

※解説
産業廃棄物処理業者のマニフェスト返送期限については、「変更届」と同様の考え方となります。

すなわち、「2020年3月28日(電子マニフェストの場合は4月2日)」から「2020年5月25日」までの間に返送、あるいは報告すべき情報が特例の対象となります。

そのため、「2020年5月26日」に運搬が終了した産業廃棄物の場合は、「30日以内」ではなく、「6月5日」までに運搬終了報告をしないといけません。

あとは措置内容報告義務に関してですが、
収集運搬と処分終了の写しは、2020年1月8日から5月25日までの間に交付したマニフェストで、交付日より120日以内に返ってこないとき
最終処分終了の写しは、2019年10月10日から2020年5月25日までの間に交付したマニフェストで、交付日より240日以内に返ってこないとき
措置内容を報告する義務が発生します。

措置内容報告義務は、
「マニフェスト交付日」と「マニフェスト交付日から何日経過したか」の両方がポイントになりますので、
考慮すべき期間が相当長いと言えます。

(5) 産業廃棄物の保管の届出に関する特例
・排出事業者が自ら排出する産業廃棄物を事業場外において保管するときは通常は事前に届出が必要だが、新型インフルエンザ等(新型コロナウイルス感染症を含む。)による処理施設の運転の停止その他の新型インフルエンザ等に起因するやむを得ない理由により行う場合には事後届出でよいこととする。

※解説
2020年4月7日から5月25日までの間に、新型インフルエンザ等の影響で、工事現場以外の場所で建設廃棄物を保管した場合は、事後の届出で良いとするものです。

こちらは期間のとらえ方がわかりやすいと思います。

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