シップリサイクル条約はビジネスチャンスを生むか?

12月2日に配信したメールマガジンを転載します。

 「シップリサイクル条約」という条約をご存知でしょうか?

 私は最近まで知りませんでした(笑)。

 ただし、日本の各地で、シップリサイクル研究会が立ち上がっていることには、今年の年初から注目しておりました。

 ※ブログ関連記事
 八戸市が船舶解体のメッカになる?
 

 船舶解体リサイクル技術の革新
 

 青森県八戸市、北海道室蘭市、そして愛媛県新居浜市

 大型船舶の解体であるため、自動車のように大量に発生するわけはなく、大規模なドックの保有が不可欠となります。

 それでも、港湾を抱える地域が躍起になって研究を進めている背景には、「シップリサイクル条約」の存在があったようです。

 
 この条約、2011年現在ではまだ発効しておりませんが、2013年中の発効が確実視されています。

 だからこそ、各地域はそれぞれの地域の振興と産業の発展を企図し、いち早くシップリサイクル技術の研究に入ったわけなのですが、シップリサイクル条約とは、何のために存在する条約なのでしょうか?

 国土交通省海事局船舶産業課国際業務室 のHPの内容を少し柔らかくしてみました。
 

 シップリサイクル条約とは、
 船舶の一生を通じ、特定の有害物質の搭載・使用を禁止、または制限し、船舶に含有される有害物質の量や所在を記述したインベントリ(Inventory of Hazardous Materials)に基づいて、船舶リサイクル施設でリサイクルすること を定めた条約です。

 条約の発効要件は、
 1.15ヶ国以上が締結
 2.それらの国の商船船腹量の合計が世界の商船船腹量の40%以上となり、
 3.それらの国の直近10年における最大の年間解体船腹量の合計がそれらの国の商船船腹量の3%以上となる国が締結した日の24ケ月後に発効する
 とされています。

「船舶リサイクル施設は、安全や環境要件を遵守できることが担保されて初めて締約国であるリサイクル国の政府から承認を受けられる」

「船舶リサイクル施設は各船舶のインベントリに基づき、有害物質をどのように処理処分するかを明記した『船舶リサイクル計画』を作成する必要がある」

「船舶リサイクル施設は本条約に従って『リサイクル準備国際証書』を保持する船舶しか受け入れられない」

 と、条約発効後は、「安かろう」「悪かろう」というシップリサイクルができないということになります。

 すなわち、「安全な解体」と「安全な廃棄物処理」を両立させなければ、シップリサイクルができないわけですので、コストの面はさておき、日本に技術上の優位性があるのは明らかです。

 船舶の解体技術の研究は最近開始されたばかりのようですが、ハイテクではなく、ローテクの組み合わせになりそうです。

 そのため、日本以外の国が研究結果を真似しようと思えば、すぐさま真似できるものになるかもしれませんので、日本としては、一日も早く解体技術を確立し、先行者利益を確保したいところです。

 船舶のリサイクルというと、大部分のメルマガ読者にとっては縁遠い世界かもしれませんが、

 世界的な潮流の中でリサイクル動向を読み解き、ビジネスチャンスとしてどう生かすか という見方をしていただくと、一般的なビジネスマンにも応用できるテーマと思い、ご紹介しました。

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