委託先積替え保管業者が洗剤を流出させたらどうなる?

昨日、積替え保管業者の事業場から洗剤が河川へ流出し、魚を大量に死なせたという事件が報道されていました。

神奈川県相模原の境川 廃棄物業者の中性洗剤が流入

 神奈川県相模原市は17日、東京都町田市との市境を流れる境川に、町田市側の排水口から泡が流入して魚が死んでいるのを確認したと発表した。発生源を調査した町田市などは同日、同市相原町の廃棄物保管積み替え業者から、高濃度の中性洗剤が道路側溝などを通じて境川に流入したと特定し、業者を行政指導した。相模原市は16日、緑区の2カ所で死んだコイやアブラハヤ、ドジョウなど計約150匹を回収した。

 相模原市によると、16日午後1時40分ごろ、市民から「川に泡が出て魚が浮いている」と通報があった。職員が現場を確認したところ、同市緑区の両国橋の町田市側にある雨水の排水口から、洗剤などに使われる界面活性剤とみられる発泡水が流入していた。

 町田市によると、業者の敷地内には中性洗剤の空容器がコンテナに山積みとなり、流入現場と同じ洗剤臭がしたという。業者が16日に空容器約4百本をつぶす作業を行った際、容器内に残っていた洗剤が流れたとみられる。

 県津久井治水センターによると、死んだ魚は両国橋から下流へ8キロ超も拡大。川底にもたまって臭気が発生しており、回収を急ぐ。

8kmにわたって魚が斃死するくらいですから、かなりの量の洗剤を流出させたものと思われます。
仮に、洗剤1本分を丸々流出させたとしても、8kmにわたって魚が死ぬとは思えませんので、1本2本の話ではない大量の洗剤が流出したのではないかと思われます。

そのため、空容器に「少しだけ洗剤が残っていた」というレベルではなく、洗剤が満タンに近い状態の容器を数本つぶしたために、洗剤が流出したというところではないでしょうか。

さて、このような事件を起こした当事者には、今後どのようなペナルティが科されることになるでしょうか?

流出元の処理業者

魚を死なせたとはいえ、〝非意図的”な洗剤の流出であるならば、これだけでは許可取消や罰則の対象にはならないと考えられます。

ただし、従前から、同様のケースの廃液流出事件を起こしており、行政から改善命令などを出されている最中の事件である場合は、改善命令を無視したとみなされ許可取消も視野に入ってくる場合があります。

上記のような過去の事件がないような場合は、廃棄物の受入時の検査徹底などが行政指導され、改善報告書の提出などが求められることになりそうです。

その他、「積替え保管業者がなぜ空き缶の圧縮ができるのか」と疑問に感じた方が多いかもしれません。

重機や重機に付けるアタッチメントで、圧縮や切断をする行為は、中間処理業の範疇に入りませんので、積替え保管のために必要な行為であれば、積替え保管場所で行うことが可能なケースがあります。

ただし、だからといって、洗剤をそのまま河川に垂れ流してよいわけがありませんので、今回の事件は保管基準違反にも該当する可能性があります。

委託者

容器に洗剤が残っていることを知りながら、積替え保管業者には「金属くず」として処理委託していたような場合、
意図的に「廃酸」または「廃アルカリ」の処理委託を怠ったことになりますので、委託基準違反となる可能性があります。

この場合、直罰の対象になる違反ですが、実際にはダイレクトに刑事罰へと発展することはほとんどありません。

現実的には、委託方法の不備や処理状況確認の不徹底に関し行政指導を受ける、というのがオーソドックスな結論となりそうです。

ただし、法律的には、いきなり措置命令をかけることも可能な違反ですので、くれぐれも軽いペナルティで済むとは思わないでください。

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