ヘキサメチレンテトラミンが水質汚濁防止法の規制対象になりそうです
DOWAハイテック社のヘキサメチレンテトラミン流出事件に端を発し、ヘキサメチレンテトラミンを水質汚濁防止法の指定物質に加えることになるようです。
日本経済新聞 浄水場問題、原因物質を規制対象に 環境省方針
利根川水系の浄水場から基準値を超える有害物質ホルムアルデヒドが検出された問題を受け、環境省は19日、原因物質ヘキサメチレンテトラミン(HMT)について、工場排水の規制を定めた水質汚濁防止法の指定物質に加える方針を明らかにした。大量流出があった場合、事業者は応急措置を取るとともに、都道府県に報告しなければならなくなる。
同日開かれた環境省の検討会で中間とりまとめの原案を提示した。また同省は再発防止策として、産業廃棄物の処理を業者に委託する際、廃棄物に含まれる化学物質を処理業者に伝えるよう、廃棄物処理法のガイドラインを見直す方針。HMTを有害物質として指定することは見送る方針。
この問題では5月、1都4県の利根川水系の浄水場が取水を停止し、千葉県では一時36万世帯が断水した。
水質汚濁防止法の指定物質に加えたからと言って、今回のような事件が防止できるかとなると、かなり疑問に思います。
今回の事件でも、ヘキサメチレンテトラミンを意図的に外部に流出させたわけではないため、同様の事故の抑止力とはならない気がします。
また、ガイドラインを見直すだけでは、罰則を伴う抑止力にはなりませんので、やらないよりはマシですが、ガイドラインを見直したところで誰も参照しないガイドラインではやはり効果が少なそうです。
とはいえ、ヘキサメチレンテトラミンを対象物質として特記して、罰則などの対象とするのも立法技術的には困難だと思います。
記事中にある「ガイドライン」は、廃棄物情報の提供に関するガイドライン のことではないかと思いますが、少なくとも、このような細切れのガイドラインではなく、委託基準全般に関する詳細なガイドラインを作成し、その中で排出事業者の重要な責任として、情報提供義務を詳しく解説する必要があると思います。
廃棄物情報の提供に関するガイドラインって、見たことがない人の方が多いのではないでしょうか?
ガイドラインは所詮単なる判断指針ですので、ガイドラインで事業活動をしばることはできません。
具体的な取組は排出事業者の意思に任されている以上、少しでもより良い判断をしてもらうために、詳細かつわかりやすい判断指針を行政が用意するべきではないでしょうか。
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2012年7月20日 | コメント/トラックバック(0) | トラックバックURL |
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