大阪市一般廃棄物収集運搬業能力試験が超絶に難しかった件

大阪市が平成25年10月から一般廃棄物収集運搬業の新規許可をオープン制にするため、
申請者の能力を認定するための試験を実施しました。

大阪市一般廃棄物収集運搬業能力試験の結果について
受験者308名に対し、合格者はたったの2名。
合格率0.65%という、司法試験顔負けの超難関試験でした。古代中国の科挙並の難関試験ですね。

大阪市一般廃棄物収集運搬業能力試験実施要領 を見ると、

(3)試験手数料  25,000円(釣銭のないよう現金でお支払い下さい。)

検定試験に近い位置づけなのに、異常に高い試験手数料にまず驚かされます。
大阪市には、@25,000×308人=7,700,000円の手数料収入が入った計算になります。

これはイイ商売ですね(苦笑)。

もっと驚かされたのが、合格基準の厳しさ

13.合格基準等
(1)合否基準
  試験は、100点満点中80点以上を合格とします。

8割以上でないと合格させないという試験ははじめて目にしました。
行政書士試験のように、資格試験であっても7割以上正解すれば合格するのが一般的な合格基準です。

8割以上というのは著しく高い基準と言えます。

ここまで合格を難しくするのであれば、受験手数料を数千円に抑えるのが妥当だと思いました。

恣意的に合否を決めたのではないという証明のために、大阪市は試験問題と正答を公開しています。
平成25年度 大阪市一般廃棄物収集運搬業能力試験 試験問題及び解答例

解答方法には、「五枝択一」と「空欄穴埋め」、「(文章を書かせる)記述」の3パターンがあるため、
特に記述形式の問題が非常に難しかったと思います。

問24 廃掃法における一般廃棄物収集運搬業に関する罰則規定に関して、懲役刑の対象となり得る違反行為について、2つ以上記述しなさい。

私のように罰則のことを常に考え続けている人間なら別ですが、
罰則について自由に書けと言われても、普通の人にとっては難しいと思います。
ここは五者択一でも良かったように思います。

問33 平成23年3月の大阪市事業系ごみ排出実態調査結果では、病院・医療機関から一般廃棄物として排出されるごみの中に、産業廃棄物が12.2パーセント含まれている。病院・医療機関が徹底的に分別することが求められるが、病院・医療機関での廃棄物処理委託契約で留意すべき事項を記述しなさい。

これに対する正答例が

・一般廃棄物の処理委託契約の必要性
・産業廃棄物の処理委託契約の必要性
・特別管理産業廃棄物の処理委託契約の必要性

確かにこの正答例でも間違いではありませんが、産業廃棄物と特別管理産業廃棄物の処理委託契約を同じ契約書で行っても違法ではないので、このように分けて注意点を挙げると、逆に混乱をさせる気がします。

空欄穴埋めも異常に難しいという印象。

問39・40 大阪市処理施設への搬入にあたっての指定搬入路に関する次の記述の空欄に入る語句を正確に記入しなさい。
・此花区、福島区以外の一般廃棄物を収集して舞洲工場へ搬入する場合は、( 問39 )を経由しなければならない。

・福島区のごみを積んで舞洲工場へ搬入する場合は、( 問40 )を経由しなければならない。

正直に告白すると、この問題はサッパリわかりませんでした(笑)。
出題範囲が大阪市のパンフレットを含んでいるため、このようなマニアックな出題もあるわけです。

出題方法は意地悪な問い方ですが、これは重要な知識だと評価する問題があったため、それをご紹介。

問12 一般廃棄物収集運搬業許可業者が自ら請け負った一般廃棄物収集運搬を他人に再委託することの是非に関して、記述しなさい。

小論文的な長めの文章を書かせるのかと思いきや、正答例は

廃棄物処理法で再委託は、いかなる場合も禁止されていること。
・廃棄物処理法とともに、大阪市廃棄物の減量推進及び適正処理並びに生活環境の清潔保持に関する規則でも罰せられること。

赤字にした部分は法律的に正しい答えです。

なぜなら、廃棄物処理法第7条第14項では、

一般廃棄物収集運搬業者は、一般廃棄物の収集若しくは運搬又は処分を、一般廃棄物処分業者は、一般廃棄物の処分を、それぞれ他人に委託してはならない。

と規定されており、産業廃棄物処理業とは違って、一般廃棄物処理業には再委託を認められていないからです。

ここが問題となったのが、東日本大震災後の被災地だったのが記憶に新しいところです。
詳細は、環境省の 被災市町村が災害廃棄物処理を委託する場合における処理の再委託の特例について をご覧ください。

大阪市の試験問題に戻りますが
この問題は(4点×2)なのでここを落とすと、「残り12点しか不正解できない」=「5個か6個不正解するとTHE END」となる、合否のカギを握る問題だったと言えるでしょう。

これだけ難しい試験であれば、「合格対策講座」を実施すると値打ちがありそうです。
ヤレと言われればヤレなくありませんので、オーダーメイドであるため、料金は一般的なセミナーより高くなりますが、関心がある企業の方はお声掛けください(笑)。

ただ、受験費用の高さと合格率の低さに辟易して、来年度以降は受験者が激減しそうですが・・・

来年度は一気に簡単になったりするのでしょうか?
大阪市としては合格者を増やす必要がないため、それもあまりなさそうです。

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