家電リサイクル料金の前払い構想は頓挫

7月4日付の記事 「家電の不法投棄が増えるとリサイクル料金が前払いになるかもしれない?」 でご紹介した、家電リサイクル料金の前払い制への移行の可能性についてですが、せっかく構想を打ち出しながらも、経産省と環境省は電機業界の反発により早々と白旗を上げました。

2014年7月5日 SankeiBiz 家電リサイクル料金前払い方式見送り

 テレビなど家電リサイクル制度の見直しを検討している環境、経済産業両省は4日、リサイクル料金を消費者が購入時に前払いする方式の導入見送りを決めた。使用済み家電を小売店に引き渡す際に料金を徴収する現行方式を当面、継続する。両省の合同審議会で、前払い方式への移行に「結論が出なかった」とする取りまとめ素案がおおむね了承された。

 自治体側は、前払い方式にすると消費者が廃棄する際にリサイクル料金の負担を求められないため、不法投棄の減少につながると期待していた。一方、メーカー側は「販売時に将来のリサイクル費用を予想するのは困難」などと反対していた。

予想どおり、

メーカー側は「販売時に将来のリサイクル費用を予想するのは困難」などと反対

とありますので、電機業界から送り込まれた、というよりは経産省及び環境省が招請した委員が、前払い制反対の論陣を張ったものと思われます。

しかし、7月4日付の記事でも指摘したとおり、
現在の後払い制度においても、製品の販売時期によってリサイクル料金が変わるわけではなく、個別の商品ごとのリサイクルコストを考える意味はありません。
(例:平成20年式の洗濯機と平成23年式の洗濯機で、リサイクルコストが大きく変動するものではないため)

電機業界が一番懸念しているのは、
少子高齢化の進展でますます家電を売りにくくなる日本で、リサイクル料金の前払いなどというさらに家電を売りにくくする障害は受け入れがたい!
ということではないかと思います。

が、消費者の立場からすると、新製品を買うということは、旧製品を廃棄処分するということにもなるため、
事実上、新製品購入時にリサイクル料金を負担しているのと同様です。

テレビの場合は別の部屋に古いテレビを設置するという使われ方をされますが、
冷蔵庫や洗濯機の場合は、1つの家に複数台の洗濯機が置かれていることはほとんどないと考えられます(相撲部屋などを除く)。

そう考えると、リサイクル料金を前払いにしたとしても、電機業界が懸念するほどには、家電の買い控えが起こりそうにありません。

ブログの記事では「頓挫」と表現しましたが、記事の表現では「見送り」とありますので、
次回(5年後か?)の見直し審議において論点として再復活する可能性はあります。

その時には、日本の一大産業である電機業界としての矜持を発揮して、自発的に前払い制への移行を主導していただきたいものです。

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