最高裁の新判例(周辺住民に産廃処理施設設置許可取消の原告適格を認める)

最高裁で、環境影響評価の対象に入る地域の住民に対し、産業廃棄物処理施設設置許可取消の原告適格を認める判例が出されました。

7月29日 17時04分 産廃訴訟で周辺住民に原告適格

産業廃棄物処分場の設置許可を取り消すよう求める訴えを周辺住民が起こすことができるかが争われた裁判で、最高裁判所は、「環境影響調査の対象地域の住民は被害を受けるおそれがあり、訴える資格がある」という初めての判断を示しました。
具体的な被害が明らかになっていなくても訴える資格を認めた判決は、産廃処分場を巡るほかの裁判にも影響を与えるとみられます。

この裁判は、宮崎県都城市の産業廃棄物処分場を巡って、周辺の住民が県に対して設置許可の取り消しなどを求めていたものです。
1審と2審が「健康や生活環境に被害が生じる具体的な証拠がなく、住民に訴えを起こす資格がない」として訴えを退けたため、住民側が上告していました。
29日の判決で、最高裁判所第3小法廷の岡部喜代子裁判長は「廃棄物処理法で義務づけられている環境への影響調査の対象地域に住んでいる住民については、被害を受けるおそれがあり、訴えを起こす資格がある」という初めての判断を示しました。
そのうえで、住民の生活への具体的な影響などを審理する必要があるとして、1審の宮崎地方裁判所に審理をやり直すよう命じました。
判決は、具体的な被害が明らかになっていなくても周辺住民に訴える資格を認めるもので、産廃処分場を巡るほかの裁判にも影響を与えるとみられます。

現在出張中であるため、判例の詳細を検討できておりませんが、
行政・処理企業の双方に今後影響が出てきそうな新判例です。

ただし、あまり過敏に反応する必要はなく、マンションなどの建築差し止め請求と同様に、産業廃棄物処理施設の設置で被害を受ける可能性が高い人に対し、訴訟適格を認めるという、もっと昔からそのような運用がされてもおかしくなかったものと言えます。

判例の詳細検討がいつ終わるかは未定ですが、
法律学者や弁護士の方が語れない切り口で、実務的な注意点を解説したいと考えております。

このエントリーを含むはてなブックマーク

タグ

トラックバック&コメント

この投稿のトラックバックURL:

コメントをどうぞ

このページの先頭へ