廃家電の不正輸出容疑で家宅捜索(東京都)

各紙が事件を報道していますが、読売新聞が一番正確な表現をしています。

2014年8月23日付読売新聞 廃家電のタイへの不正輸出、警視庁が異例の捜索

 廃家電などの廃棄物を金属スクラップに混ぜてタイに不正輸出しようとしたとして、警視庁が環境省などの通報を受け、東京都内の貿易会社を廃棄物処理法違反(無確認輸出未遂)容疑で捜索していたことが捜査関係者への取材でわかった。

 リサイクルが義務づけられた「家電4品目」のエアコンなどが多数含まれていた。環境省は、家電リサイクルの仕組みを骨抜きにする悪質な行為だとして、近く同社を同法違反容疑で警視庁に正式に告発する方針。

 廃家電の不正輸出は2000年代後半から横行し、廃家電の1割近くに及ぶとされるが、捜査当局の強制捜査が行われるのは異例。

 捜索を受けたのは、東京都中央区の「泰和(たいわ)商事」。同社は4月、環境相の確認を受けずに、廃棄物をタイに輸出しようとした疑い。「金属スクラップ」と申告し、コンテナで東京港から輸出しようとしたが、東京税関の検査で廃家電などが含まれていることが分かり、差し押さえられた。

税関の検査で廃家電の混入が発覚し、コンテナの差し押さえや貿易会社への家宅捜索まで発展したという珍しいケース。

ただ、ここ数年間で環境省は、廃家電不正輸出の取締りを強化しているため、今後はこのようなケースがさらに増えていきそうです。

従来なら、この手の雑品スクラップ(に見せかけたもの)の大部分は中国に輸出されていましたが、中国当局が規制強化したこともあり、タイへ流れ出しているようです。

スクラップの輸出の場合
日本から出る際にも検査され、外国に着いたときにも検査されますので、
正真正銘の金属スクラップでない限りは、なかなかリスキーな輸出手続きになっています。

ちなみに、他の新聞では、『環境大臣の「許可」を受けずに輸出しようとした』という表現が用いているところがありましたが、
法律的に正しい表現としては、今回ご紹介した読売新聞の「無確認輸出」が正解です。

廃棄物処理法の罰則としては、
無確認輸出は「5年以下の懲役もしくは1千万円以下の罰金、または併科(第25条)」の罰則ですが、
無許可輸入の場合は「3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、または併科(第26条)」の罰則となり、
輸出の方が輸入よりも一等重い罰則となっています。

また、輸入許可を受けた廃棄物は、すべて産業廃棄物となります。

ただし、輸入後に廃棄物となった物品はすべて産業廃棄物になる、ということではなく
「最初から廃棄物として日本国内に持ち込み、日本国内で安全に処理するために輸入許可を受けた廃棄物」が産業廃棄物に該当するという意味です。

例えば、外国から輸入したバナナを陸揚げした際に、一定割合で傷んでいるバナナがある場合は、
腐ったバナナを輸入することが目的ではありませんので、バナナは産業廃棄物にはなりません。

この場合のバナナは事業系一般廃棄物となります。

※理由
産業廃棄物の「動植物性残さ」には、「食品製造業、医薬品製造業、香料製造業」から発生した残さに限るという業種限定があり、バナナを輸入した事業者は先の3業種にあてはまらないからです。

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